拓馬

オッペンハイマーの拓馬のネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

厳しい。非常に厳しい映画だった。
エンタメとして面白かったとは口が裂けても言えない。

ナチスへの抑止力という大義名分を言い訳に、科学者特有の好奇心とエゴを時代背景に織り交ぜながら展開する異様な描写は、正直に言えば「気持ち悪い」という感想が第一にくる。
特に装置が完成し彼等の研究が身を結ぶシーンには、頭から雷が突き抜けるような衝撃を覚えた。
全く笑えなかった。本当に心の底から恐怖し身体中に脂汗が滲んだ。

自伝的内容で展開されるのかと思いきや、後半は政治を主軸としたサスペンスに一転。
原爆かの如く打ち鳴らす音楽、重厚な映像と各俳優の名演技は密接に重なり合い、映画として評価せざるを得ない。
上記のセンシティブなアプローチを覆い隠す様な高い完成度に、どんな面持ちで臨めば良いのか心底困惑してしまった。

広島で生まれ育つ身として思う所の多い映画であったが、日本公開に踏み切ってくれた方々への感謝が勝る映画だったように思う。
拓馬

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