拓馬

リバー・ランズ・スルー・イットの拓馬のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

起伏の無い穏やかな物語に、時として儚く情緒を鷲掴みにされる。
心の老廃物が浄化されるデトックス要素に溢れたロードムービーに終始没入した。

あの頃理解されず、それでも愛した者達は妻を含めこの世を去る。全てが消えて残ったのは思い出だけ。

それでもモンタナの大自然とブラックフット川はそこに在り続け、魂と想像力に甦りと刺激を与える。

芸術は永く人生は短し。
覚束ない手付きの老人がフライフッシィングで揺らす、美しく刻むその四拍子の竿先に目と心は奪われ、行き場のない感情が川のせせらぎ音に乗せられて一つに混ざり合う。
あまりの心地良さに身を委ねてもう考える事をやめた。

映画を観ているという感覚を思わず忘れてしまう素敵な作品だった。
拓馬

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