ラグナロクの足音

オッペンハイマーのラグナロクの足音のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8
いやー実写版風立ちぬですな。豪華絢爛、THE科学者オールスター大感謝祭。いろいろ説明端折りまくってたが数十人にものぼるマンハッタン計画の関係者それぞれの立ち位置と個性が明確に描かれポツダムまでの歴史認識が改められた。オッペンハイマーがこんなヘナチョコスケベ科学者だったとはね。今回ノーランが選んだ原作が3部構成のオッピー自伝ということで原爆メイキングの前と後での心の揺らぎが公聴会と査問委員会を通して事細かに描かれる。この複雑な題材を選び脚色に心血注いだ監督の勇気に最大賛辞を送りたい。彼の心の両義性と、量子の不確定性原理が合成される形で比喩表現されているのが何とも妙だった。ダイアローグが主となる、いわゆる派手な映画の見せ場が少ないストーリーにおいて、ノーランの演出力がこれまで以上に発揮されていたように思う(てかノーラン自分をオッピーに重ねすぎだろw)。まあ日本で公開を遅らせるほどのコントロバーシーな内容でもなかったかな。いたって普通のエンタメ政治サスペンス。強いて言うならオッピーと女の人間ドラマを描くには短すぎたかなと。できればあと1時間くらい長くやって欲しかったのでディレクターズカットver待ってます。エニウェイ、キリアンもロバートもおめでとう。
ラグナロクの足音

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