けーてぃー

オッペンハイマーのけーてぃーのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5
天才科学者はパンドラの箱を開けプロメテウスとなってしまう
全セクションのクオリティが素晴らしいのは間違いないが、恐ろしさと絶望感虚無感に襲われた
特にトリニティ実験の地獄のカウントダウンと、聴聞会が一つの結末を迎える直前に明らかに動悸が激しくなった

聴聞会で自らの過去を告白する主人公、時系列の技法、映像などノーラン過去作や関係作の要素が見え隠れする
個人的には直近の復習で観れていないがメメント、インセプション、また深夜の告白辺りが強く想起されたし他にも色々ありそう

また天才科学者でありながら欠点も多い一人の人間としてオッペンハイマーを描いていたり、科学技術と権力との関係性も感じた
(技術がどれだけ有用で素晴らしくとも、それを使うのはあくまで人間)

オッペンハイマーが最大の賛辞を受ける瞬間を地獄の様に描いたり、犠牲者の女性役が監督の娘さんと言う点、その他描き方やインタビューから反戦反核である事は言うまでもない
(はだしのゲンを読んで育った身としては放射線被ばくが小さく見えてしまったが)

ラスト、オッペンハイマーは目の前の現実から逃れるように目を閉じるが、パンドラの箱が開かれた世界で自分たちは目を閉じれない 閉じてはならんというメッセージに思えた