このレビューはネタバレを含みます
2024 83本目 4/3
ノーラン監督作品とは思えない、リアルで重厚な社会派伝記映画。
時間逆行のようなトリッキーなギミックはなく、シンプルな時系列シャッフルのみで、あとはオッペンハイマーの会話中心に展開していく。
オッペンハイマーに憑く、使命と権力、犠牲と背徳のような主題が、非常に重たくのしかかる。まるでベテランの巨匠のような人間ドラマで、セリフの数々が印象的に突き刺さる。
物議になっていた戦争兵器、被曝についての目線は、個人的には何も思わなかった。見た感想としては概ね満足なので、その点に関しては不十分だとは思わない。
映画は映画であって、描かれ、示唆された内容以上の意味は映画自身は持っていない。よって、この映画自体に核兵器にまつわる大きい問題のすべてを預けることはできない。
この映画の主眼はその部分ではなく、オッペンハイマーその人の人生だったから、映画としては何も言うことなく100点満点。