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オッペンハイマーのyzのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.4
粗もしくは好みではない部分はあれどノーラン作品でも屈指の完成度なのではなかろうかと思った。

はじめにネガティブな点
・さすがに説明を省略しすぎ
既鑑賞人の感想から漏れてきていたが、人物紹介が限りなく少なく予習していっても、これは誰だっけ?と混乱した
(これに関しては欧米の一般教育水準では当たり前に分かる人たち故に説明されないのでは?という視点もある)
・長い
仕方ないことなのは分かるがいかんせん長い。開発成功が一つのクライマックス的位置になるので、その後の反共・詰問パートが正直しんどい。

ノーラン十八番の時間いじりが効果的だったように思う。序盤からテンポよく展開していくので人間関係に触れながらロスアラモスに集結していく作りが上手く、開発の加速にドラマティックさを感じたのは否めない。既に触れた様にその後が長かったのだが、開発成功、投下までのパートは素晴らしく面白い。IMAX使いに関してももちろん優れていて、やはりトリニティ実験のシーンはとてつもない威力であった。恐ろしさを伝える効果はちゃんとあるだろう。台詞でも語られるような緊張感を、そして衝撃を体感させられた。さらに白眉だと感じたのが、開発成功を祝うスピーチのシーンで群衆の足音を聞かせ熱狂を見せ、すなわち「皆が1つになること」の危うさの表現し、同時にロバートの後悔、ショックの表現していたシーン。

予想通り投下推進派の論理も反対派の意見、後のロバートの後悔・反省もしっかり描かれている。配給会社が渋ることは多少理解の余地があるが、日本公開が遅れたのも見ずに/見て誤読して、騒いでいる人への理解に苦しむ。
思えば当然ではあるが対ナチスドイツ、対ソ連(反共、冷戦)の要素が強かった。
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