オッペンハイマーのヤマニシのネタバレレビュー・内容・結末

　原爆の話がメインではあるが思ってた方向性とは違った。あくまでオッペンハイマーの伝記であって原爆はその一要素に過ぎない印象。原爆を作った苦悩というよりは、原爆により加速する軍拡競争とそれによってもたらされる破滅に対する苦悩を描いていた。日本で教育受けた自分からすると原爆って広島と長崎に落とされた原爆って意味だけど、開発者側で見たら今後も量産可能な兵器なので、保有しているかもそうだけど製造可能か重要で、今後の安全保障のことも考慮に入れなきゃいけないって視点は確かになかったなと思った。（ニュースで核開発の話を見るときは考慮に入れてるけど、原爆を扱う映画を見るときの視点としてはなかったなという話。）そういう映画なので当然ながら被害者視点は映画からはシャットアウトされてたな。日本人は当然でないし、広島と長崎の被害状況が描写されることはなく書類上の話で終わり、原爆にまつわる政治的な話を中心に進む。そういう意味で期待していた映画ではないが、そもそもアメリカ人の持ってる核兵器に関する考えと日本人の考え方の違いみたいなのを感じられて面白かった。
　しかし時系列がしっちゃかめっちゃかで初見だと何の話をしてるのかがわかりづらい。マンハッタン計画、ストロースの公聴会、赤狩りあたりの話がメインだけど、全部が同時進行で事前の説明もないのでまあ混乱しますわ。終盤あたりでようやく何の話で揉めてるのか理解できた。原作未読勢はお断りな感がある。