180分という長編すぎて映画館で座って見ていられるかとても不安だったが、とりあえず集中して見ることは出来た。ただトリニティ実験のシーンがクライマックスかと思いきやそこからの政治ドロドロシーンがかなり長かった。内容としては①オッペンハイマーの出自と核開発そのもの、②戦後の公職追放 の2つに分かれることを念頭に入れてから見た方が良い(ただエグい戦争シーンはないので、それが苦手な人でも見れる)。
既に歴史が示す通り、オッペンハイマー率いるチームが実用化にこぎつけた原爆は世界の武器の、ひいては世界秩序のあり方を変えてしまったわけだが、開発側の視点で原爆が描かれるのはある意味では斬新だった。突出した才能を持つ科学者たちが、いわば前線とは遥か彼方の人里離れた研究所で開発した新兵器は、彼ら自身も到底知り得ない範囲に影響を及ぼす。事実、いまも核のボタンは大統領が持っており、「使われ方」を決めるのは政府だ。「開発側」ではない。それを考えるにつけ、科学や研究の独立性、自由とは？について思いを馳せずにはいられない。
