いつものノーラン作品同様、時系列が入れ替わり頭がこんがらがる
それに加えてモノクロとカラーの映像が交互に流れてくるので余計こんがらがる
しかし、テネットを経験した私に怖いものはなし
こんがらがりながらも楽しめた作品
今回の作品の軸となる部分はやはりオッペンハイマーの苦悩であると思う。
原爆という恐ろしい兵器を作るまでの感情の振れ幅こそこの映画の見どころ
ユダヤ人という立場でナチスを止めるため原爆の開発に意気揚々と乗り出したオッペンハイマーの表情が次第に曇り始める
そして実験が成功した後に恐ろしい兵器を作ったこと、今の世界の秩序を壊してしまったことを知るまでの流れが秀逸
実際に戦争で原爆が使用されたシーンを挟めばいかに恐ろしいものか誰でも理解できたと思う
しかしあえてそのようなシーンは挟まずオッペンハイマーの苦悩で原爆の恐ろしさを表したのは秀逸。原爆の開発に乗り気だったオッペンハイマーが水素爆弾は反対したことが何よりの証拠。世界を破滅できるほどの力を人間に授けしてしまった苦悩がよく描かれてたと思う。
直接的に原爆が落とされたことを表すシーンはなくオッペンハイマーの功績を讃える場にいた女性の皮膚がただれていくことで原爆の恐ろしさを表したのはさすが表現者といったところ。
原爆の恐ろしさを描きつつも作品として楽しめるのでとても満足でした。
