金春ハリネズミ

オッペンハイマーの金春ハリネズミのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5
まずは日本公開に踏み切ったビターズエンドの英断に感謝しかありませんよ。

まさかクリストファー・ノーランの映画で泣かされるとは思いませんでした。。

この涙は、日本人独特のものかもしれません。
ずーっと静かで淡々と流れる本作が、1番の盛り上がりと喜びを見せるシーンにやられました。
彼らの一喜一憂に、昭和28年公開の日本映画「ひろしま」の映像を重ねます。

本作は少なくとも、日本に対する被爆への目配せは一切ありません(描写はあるけど)。
これは張本人アメリカによる、もっといえばロバート・オッペンハイマー個人による挑戦と闘いの懺悔です。
自分達でもどうしていいかわからないパンドラの筐を開いてしまった人々の揺らぎと流動が垣間見えます。

マンハッタン計画の渦中が目指した世界の先に、かつての広島・長崎の景色がありますし、それは現在の日本にも尾を引いていますよ。
この観点で本作を見れる我々はある意味特殊かもしれません。

IMAXで流れているうちに、被爆国民として、この衝撃を感じればいいんじゃないかと。

そうそう。
アリ・アスターの二大主演がキャスティングされてたの地味に嬉しかった。