YLxx

オッペンハイマーのYLxxのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8
「あなたはいつから水爆実験に反対し始めたのですか?」

後半約1時間面白いのだけれども、どこかオッペン個人の物語から逃避しオッペンではなくアメリカの全体主義さらには世界全体を批判する内容になっていることに違和感を覚えた。ロバートダウニーJRのパート必要なのか?もっと個人の物語を期待していたのに悪い意味でハリウッド的でアメリカンな映画。一人が責任を取るものではないがオッペンハイマーの映画としては語り口がズルいというか許せないという気持ちが勝ってしまった。冒頭30分の内面をもビジュアルで見せる強烈なシーンに心躍った分消化不良感が否めない。天才科学者が集結していく様はマーベル映画のようで非常にアメリカ的、みな破滅に向かっていると理解しつつも歩みを止められない様は恐怖そのもの。原爆実験のシーンも賭けをしたり酒をのんだりどこか学芸発表会のような雰囲気が見ている自分の頭を混乱させる。「シーツを入れろ」の電話は歓喜と後悔が混じりあっていたはずなのに原爆投下にはポーズだけで強くは反対せず2つの原爆が出荷される姿も見つめる彼は本当に無責任で政府要人の手駒でしかないことがわかる。投下後のバスケリングがある体育館?で歓喜に包まれる様は正しくアメリカ的、キスするカップルがいることが特に残酷すぎて悲しみで涙が流れそうになり見るのに体力を使った。
たまたま日本に生まれただけで被害者という意識をもつのはおかしいとも思うが、幼い頃からはだしのゲン等原爆を題材にした物語に触れられる環境にある日本人は圧倒的に原爆に対する知見がある国民だと思う。だからこそ見るべきだしこの作品が原爆を描いた作品の代表として残ることに違和感を覚えるべきだ。作品の根幹には当時原爆の恐ろしさを物理学者達も完全に理論では説明出来なかったように、また戦争という人の争いも理論では解決できるものではない。だからこそ原爆を使ったことが効率が良かったかどうかなんて関係ないのだ。これらが一種のメタファー的構造にはなっているのにラストに行くにつれておれは何を見せられてるんだ?となってしまう。愛がない映画は苦手だ

役者が良いです
逆にそれしかないのかもしれない。ノーランは娯楽作品黙って撮ってれば良いんだよ
ドデカエスキポシティでのフローレンスピュー本当にありがとう