えにーでいなう

オッペンハイマーのえにーでいなうのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.5
作品については一度見ただけでは消化しきれなかったというのが正直なところ。単純に印象的だったところとしては爆発と音の時差。光の放出の後の、凄まじい音。あれは確かな「体験」であったと思う。

全体としては3時間の映画は流石に長く感じた。後半は会話劇が続くので、あれ、これっていつ終わるんだ?と思ってしまう。ノーランは分かりやすい映像のギミックが取り沙汰されることが多いので、そのあたりは新鮮ではあったけど、長いし集中力いるしで、なんにせよ、もう一回見ないとなにも言えないなという感覚である。

状況的な話に移すと、この作品がアメリカをはじめ世界中でヒットしているということは驚くべきことだと思った。3時間あるし内容的にも結構人を選ぶというか万人が楽しめるような受け入れやすさはないと思う。現に日本では全然伸びていないわけだし。このくらい難解な作品が各国でヒットしたというのはノーランのネームバリューもあるのだろうけど、諸外国における映画の受け入れの懐の広さを感じてしまうな。アメリカでは家族でこの映画を見に行くみたいな話も聞いたり、実験場が観光地として人気になったりしていることを聞くと、すごいハイコンテクストな映画も上手く受容するんだなーと肝心してしまった。

個人的には、前評判で聞いていたよりもずっと核爆弾による被害については深刻な描き方をされていたように思う。普通に見たら、とんでもないモンスターを開発してしまったというネガティブ側面が強く出ていたように感じた。なもんで、そういった意味でも広島、長崎についてはもとより今後の世界についても核の不利用、不拡散という点についてアメリカ国内に対してこの映画がどのように影響していくのかという点も気になるところ。