オッペンハイマーのYoshiのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマーは当初ナチスに先に原爆を作られてはならないという動機でマンハッタン計画に参画することになる。この辺りオッペンハイマーがユダヤ人であるという背景から理解できるものがあった。

その最中、ヒトラーが自殺しドイツが降伏、と爆弾が完成する前に事が進んでしまうのだが、そこで日本に原爆が投下されるまでのプロセスが人間らしいというか、もう開発は進んでおり後戻りしたくない、という状況や、ここまで研究開発してきたものを使いたいという思いもどこかにあったのではないかと感じられた。
このように明確な理由はないものの、一定の妥当性がある理由(戦争を終結させる)を持ち出して原爆投下を決定するまでのプロセスが非常にリアルであった。

周囲に被曝者がいる身として、こんな流れで決まってしまったのか、という戸惑いと実験シーンのすさまじい炎と爆音、これによって家族を焼かれていったのかという想像から胸を締め付けられた。

大量の命を奪う力を持った兵器や技術が政治家や科学者の思惑の上で危うさをもって転がっていること。この認識を持てただけでも見る価値のある映画であった。