まきごん

オッペンハイマーのまきごんのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.3
物理学者として、思想家として、一人の人間として、様々な角度からオッペンハイマーという人間の人生を追体験する物語。原爆を作った事が彼の人生の最大の特徴と思われがちで実際に周りの人が関心を寄せる所なのだが、彼自身は「原爆の男」と言うよりも寧ろ彼の思想、彼の内面、それを肯定してくれるようなひとと出会い人生を歩んでいきたかったのではないかと思った。
だから周囲の人が彼のことを「原爆を作った男」というレッテルを貼って見始めることに抵抗を感じたのかなと思う。

ソ連が連合国の一員だった事、ルーズベルトがスターリンに甘かった事もあり、大戦中は見過ごされていた米国内の親ソ派は戦後のトルーマン体制で一斉摘発され、特に朝鮮戦争が勃発して赤狩りとマッカーシズムの大嵐が吹いた50年代はその兆候が最も強かったのだが、オッペンハイマー自身も自分の物理学者としての要素以外の部分で自分の立場が脅かされていく事は全く本意ではなかっただろう。
ただ、これは当時の米国左翼有名人あるあるで他にもローマの休日を手がけたトランボ等もそうでこちらも映画化されているので題材としては実はよくある話。
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