映画館で鑑賞。被爆国、日本人を代表するような感想は特にない。でもさすがにジャパンの言葉が出てきた時は動揺したな。きつかったな。我が兄弟は教科書よりも映画と父の言葉と、戦争帰りの会ったことない曾祖父ちゃんの存在でしか日本の戦争を知らない。『男たちの大和』や『硫黄島からの手紙』やら重大な思春期の時代に観た映像体験の動揺が呼び戻された。これみよがしに語れることはないので、言葉がない今はちょっとその手の自分の感想と距離を置く。さてさてところで、この映画における荒野の重要拠点、ロスアラモスが何かに重なった。一人の男を中心に完全分業制を敷いてひとつの物を作り上げる現場。なんとなくそれは映画の撮影現場のように見えた。真っ暗な空に光が走り、爆音に包まれる原爆実験は、まさに劇場にいた自分を二重写しにするような感覚だった。兵器と映画が生まれる場を一緒くたにするなんて不謹慎だ、って言われたって仕方ないよな。実際そう感じてしまったんだもの。でもこのアレゴリーが何を意味するのか自分にはまだ分かってない。
