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オッペンハイマーのIbeのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
5.0
ようやく公開されたオッペンハイマーをIMAX鑑賞。待ちきれなくてOSTだけは聴いてたから、冒頭のニールス・ボーアとオッペンハイマーのやり取りの後に”Can you here the music? ”が流れてきた時は死ぬほど興奮した。曲への入り方も一緒に流れる映像も素晴らしすぎる。こんな演出反則だろ...

『TENET』の時も痺れるような音楽で観る者を魅了してくれたルドウィグ・ゴランソン。彼の音楽は感情の最も敏感な部分を容赦なく揺さぶってくるから、繊細な主人公とテーマを扱う今作とも相性抜群。流れる音楽はどれも緊張感や儚さが備わっていて、オッペンハイマーの、さらに言えば人類の行く末を暗示しているみたいだった。音楽だけでここまで表現できるの凄すぎる。

凄すぎるのは音楽だけでなく音響も。この映画最大の見せ場であるトリニティ実験の爆発シーンには度肝を抜かれた。デカすぎる爆発音は音というよりも振動。天井も壁もビリビリ鳴って、映画館が壊れるんじゃないかと心配になるレベルだった。そしてこの異次元の迫力が生み出したのは圧倒的な臨場感。映画館は現実を超えた体験ができる場所なんだとうことに改めて気づかせてくれたクリストファー・ノーラン監督に感謝。

音量的なピークはトリニティ実験だったかもしれないけど、物語の重厚さは終盤にかけて更に増していった。原子爆弾が日本に投下されて葛藤するオッペンハイマー、そんな彼を泣き虫と罵る大統領のトルーマン、聴聞会でオッペンハイマーを追い詰めるストローズ——、誰の主張が本当に正しいかは正直分からない。それでもこの映画で描かれた歴史的事実は日本人として心に刻みたい。
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