みなみ

オッペンハイマーのみなみのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.9
嘔吐注意度 1/10

音が大きい!もちろん意図があってのことだと思うけどちょっと大きすぎやしないかな…。音に敏感な人は大変かも。

この間フォロウィングや無名を見たばかりなのもあって、あちこち飛ぶ(フラッシュバック)演出は違和感なく見れました。それにしてもあちこち飛びすぎてストローズさんパートが白黒じゃなかったらかなり頭ぐるぐるだったかも。
最後の方はオッペンハイマーさんの心情やら境遇やらのせいか、ものすごい飛び具合だったので着いていくのが大変だった。そのくらいしんどかったんだろう、ということを表現したかったのだろうな、と思った。そりゃしんどいよ。常人には計り知れない。

日本に原爆を落とされたときの描写がない!納得いかん!みたいな話題をどこかで見た気がしたのですが、お話の主題は原爆ではなくオッペンハイマーさんなのでなくて当然だと思う。入れられてもノイズになってしまったと思うし、端から入れないのを想定した撮り方に見えたのでこの映画に関してはなくて良いです。
実験に成功して「やったー!わーい!」って喜ぶロスアラモスの人たちに「はあ〜〜〜?」って思わなくはないけど、ロスアラモスの人たちにしてみれば隔離された町で実験メインの生活を送ってようやく訪れた一度しかない実験の機会に成功したんだからまあ喜ぶよね。私が当事者でもきっと喜ぶし、あらゆる場面で無意識のうちにこういうことしてるというかなっちゃってると思う。辛くなっちゃうな…。
そして実験が終わった途端に外される梯子の呆気なさよ。かけた時間とお金だけで評価される虚無感がものすごい。

3時間でも短いくらい怒濤の如く人生の分岐点になるイベントが起こるので、よくぞこれだけの荒波を渡りきったな…と呆然としてしまう。私や私の回りにいる人の50倍くらいあらゆることが起きてるし、起きることの規模がデカい。物理学者さんでないと噛み砕けなくない?って変なところで感心してしまった。
割と女性関係が自由な感じなのは意外だった(映画的にそう見せてる、見えるだけなのかもだけど)
フラッシュバックであちこち飛ばしながら見せられるのもあって、1つ1つの出来事がちゃんと絡み合って一人の人の人生になってるように見えるのが巧いなあと思いました。
大胆な構想のSFとかミステリーとかじゃないけど、たくさんの事象が最後一本に収束していく作り方が監督っぽい、ような気がします。にわかなので適当言ってるかもしれない。

ロバート・ダウニー・Jr.、わっっっる!!!悪い!!!そうかこれが本来のロバート・ダウニー・Jr.の姿なのだな。アカデミー賞のあの態度に納得しちゃうくらい堂に入った悪さ。すごい悪くて良い。アカデミー賞の助演男優賞は「悪い人を悪く演じられてエライ!」っていう賞だと思う。ドリトル先生とか演ってる場合じゃない。
大統領もわっっっっる!!!!!蝶ネクタイすらムカついてくる。ひっぱたいて泣きべそかかせてやりたい。え、ほんとにこんなこと言ったんです?人としてどうなのか。ゲイリー・オールドマンだって気づかないくらいムカついた。

アインシュタインさんがなんかすごい尊い人に見えて良かった。天上人みたい。とっても可愛い。
ロマニッツくん可愛かった。学生時代のときの会話とお仕事で最初に会ったときの会話がたまらなく可愛い。ああいうの大好きです。

戦争って本当に碌でもない。政治ってこんなことするためにあるんだろうか。そんなことないと思うし思いたいんだけど、思わせてくれない世の中がしんどい。
人の人生費やした結果や、考えに考えて結論なんて出ないことを権力持ってる上の人が全部掻っ攫って道具として消費する虚しさ半端ない。
今この時も多分同じようなことが起きている世の中めちゃくちゃ辛い。
どうしたらいいんだろうね!凡人にはわからないよ!
みなみ

みなみ