ざぱ

オッペンハイマーのざぱのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

忙しかった(ということにさせてもらいたい)こともあり、また内容を噛み締めてから感想を書こうと思った(ということに以下略)こともあり、鑑賞してから約1ヶ月半が経っての投稿になる。そのため、あらすじを調べながら鑑賞当時の感想を思い出す。

物語の始まり方、カラーのオッペンハイマー、モノクロのストローズ。ノーランらしいと言っていいのか、時間軸を色で区別させる描写。はじめはモノクロが過去から未来、カラーが未来から過去といったように進んでいって、それがぶつかるところに真相が見える的な流れかと思った。実際はいきなりオッペンハイマーも過去から振り返ったのでそうではなかった。とにかく史実を知らないと映像だけでは時間軸が読みづらい。そこを考えていると会話に追いつけない。ネタバレを恐れて予習をしなかった自分を後悔。

オッペンハイマーは超理論的な科学者だった。それは冒頭の実験を失敗するシーンや原爆を開発していく中で見てとれた。だが、そんな理論で詰めていくオッペンハイマーでも原爆開発後の影響を読むことはできなかった。理論上は爆弾として機能するはずだが連鎖反応によってとんでもない爆発が起きないか。しかしこれ以上犠牲を産まないために戦争は終わらせないといけない。トリニティ実験を行うまでもオッペンハイマーには葛藤があったはずだが、ドイツの降伏以降は戦争終結に振り切っていたように見えた。

日本への原爆投下後は言わずもがな、オッペンハイマーは自責の念に駆られる。トルーマンは、責められるのは落とす指示をした自分だと言っていたけれども、そうじゃないんだよな展が絶賛開催。大統領から見放されてしまう。怖い怖い。

本題のストローズとの原爆委員会追放うんぬんはロバートダウニーJr.がいい感じにいや〜な奴を演じてて流石助演男優賞だと思った。そして結局はオッペンハイマーの人望とケネディのダメ押しによりストローズの昇進が断たれる。科学者たちがオッペンハイマーを推し始める展開は物語の理解度あまり高くない自分でも熱くなった。アインシュタインの軽蔑もしっかり回収されてダブルでキモチエエ。

最後に、原爆開発時に懸念されていた連鎖反応による大気炎上は理論(ニアゼロ)の通りに起きなかった。と思わせて、実際は開発成功によって世界中の科学者たちに火をつけて核開発競争が起きて、まさに連鎖反応しているよねってことなのかなと思った。

この映画はオッペンハイマーを悪者にするものではなく、かといって原爆を落としたアメリカにも大義があるわけでそれを咎めるのも違う。大事なのは起きてしまった連鎖反応の被害をどうやったら自分たちが抑えられるだろうかっていうのを投げかけられているような気がした。
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