Filmarksさんの試写会を渋谷のユーロライブで観てきました。ロバート・エガース監督の前作である「ライトハウス」は、正直なところ理解できない難解な作品だったので、一転してエンタメ重視のアクション大作というのがi意外でした。
ただ、映画の背景にあるヴァイキングの歴史や北欧神話の知識がないと物語の深層まで理解できないかもしれません。最初は現実世界の物語だと思って観ていたので、序盤(アムレートの子ども時代)の展開から戸惑いました。あくまでファンタジーとして観なければ、かなり大胆な映像も荒唐無稽なものにしかなりません。
アムレートが屈強なヴァイキングに成長してからの展開は、暴力的なシーンの迫力やほとんど都市が発達していない地域の自然の情景(ロケーションが抜群)などに魅了されます。このあたりからは現実と幻想の境界とかを意識しなくなり、純粋に映像の醍醐味に浸るのがいいと思いました。
過去の闘士が奴隷になって復讐を目論むという展開は、リドリー・スコット監督の「グラディエーター」を連想しますが、あの作品のような大規模でスペクタクル的な映像はなく、それでいて長回しの格闘シーンの強烈な描写は凄まじいです。その他にもさまざまな映画の要素が混在しているような印象ですが、それがうまく調和しているので、映像そのものに既視感がありません。
アムレートの復讐の過程(誰を殺害するのか)やその顛末には賛否あると思います。今回の試写会では立派なパンフレットも配布され、そこに寄稿された丸屋九兵衛さんの解説が興味深いです。上映後に彼のトークショーもあって、とても参考になりました。登場人物がそれぞれ信仰する神の特性などを前提にして、もう1回観てみたいと思います。