MasaichiYaguchi

ハッピーエンディングスのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ハッピーエンディングス(2021年製作の映画)
3.7
この映画は、「鳥を見にいく」編と「はじめての映画」編という2パートに分かれてシナリオ無しの全編即興で制作する作品になっていて、恰もジャズの即興演奏のように演者の台詞と感情表現の応酬が繰り広げられる。
バカンスに訪れた男女4人の生々しい恋愛模様を描く「鳥を見にいく」編は「ドンテンタウン」の井上康平監督が、映画作りに奮闘する高校生の姿を描く「はじめての映画」編は「無限ファンデーション」の大崎章監督が担当している。
更に本作は、音楽×映像の祭典「MOOSIC LAB [JOINT]2021-2022」のエントリーしているので、「鳥を見にいく」編では元シャムキャッツの菅原慎一さんが手掛け、「はじめての映画」編は大槻美奈さんが音楽を担当している。
そして丸投げされたかのようなシナリオ無しの2パートのエピソードに挑むのは、「鳥を見にいく」編では、「スペシャルアクターズ」の北浦愛さん、「成れの果て」の木口健太さん、「暁闇」の中尾有伽さん、細井じゅんさん、日高七海さんが参加し、「はじめての映画」編には「ベイビーわるきゅーれ」の高石あかりさん、「アルプススタンドのはしの方」の西本まりんさん、「茜色に焼かれる」の和田庵さん、下川恭平さん、日下玉巳さんが出演している。
一見、大人のパートと若者のパートに分かれているように感じられる本作だが、登場人物によってリンクするだけでなく、「火」というモチーフや、恋愛模様という内容においても共通点があって、双方共にアドリブによる作劇だが、プロットにおいて通底する部分が感じられる実験的な映画だと思う。