紅梅シュプレヒコール

四畳半タイムマシンブルースの紅梅シュプレヒコールのレビュー・感想・評価

4.0
森見登美彦著「四畳半神話大系」が鬼才湯浅政明によってアニメ化された2010年から幾星霜

「サマータイムマシーンブルース」とのコラボという形式をとり、2020年に「四畳半タイムマシーンブルース」という表題を掲げて阿呆な面々が帰ってくるというサプライズに驚喜したことは記憶に新しい

残念ながら監督は湯浅政明から代わり、近年活躍が目覚ましい夏目真悟がメガホンを取っているが、前作の持つエッセンスを失わずに見事に引き継いでいるので安心してご覧いただきたい

また樋口師匠を演じていた故・藤原啓治から「夜は短し歩けよ乙女」の時に役を継いだ中井和哉の師匠もすっかり馴染んでおり、違和感なく観ることができた

物語は「サマータイムマシーンブルース」、キャラクターは「四畳半神話大系」の面々がベースになっており、脚本を両作に携わったヨーロッパ企画の上田誠が担当しているので調和のとれたコラボとなっている

世界の存亡をかけてエアコンのリモコンを巡る時間旅行をするという馬鹿げた設定に四畳半のキャラクター達を投じることで、元来持つ彼らの阿呆さが加速している

悪魔のような小津と下鴨幽水荘の仙人樋口師匠の自由奔放さに振り回され、四苦八苦する「私」の様は不憫ではあるものの見ていて楽しい

そして、「私」と明石さんの恋模様も描かれており、可愛らしい明石さんを見れるのも今作の見所

「四畳半神話大系」ファンとしてはアジカンの主題歌、浅沼晋太郎の「私」を堪能できただけでも非常に嬉しかった一作