犬好き男子の映画レビュー

イニシェリン島の精霊の犬好き男子の映画レビューのネタバレレビュー・内容・結末

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ぴあ様の一般試写会にていち早く鑑賞させていただきました。(@渋谷ユーロライブ)

アイルランドの歴史を知った上で観るのとそうでないのでは、この映画の感じ方は異なると思いますが、深く造詣のない私が観た一意見として。

・退屈は悪なのか、そして孤独の恐ろしさ。
かつての主人公の友人だったコルム、主人公の妹のシボーンは、「退屈さ」に耐えられず、現状から動きだそうという心情を持っていたと感じました。コルムは、何も生まない雑談ではなく、音楽に没頭する。シボーンは、本島から脱出する。
外の刺激をなんとか求めようとしていました。
コルムは急に主人公と関わらない(嫌いなわけではない)ようになる場面から始まりましたが、その前から葛藤があったのかもしれません。

たしかに主人公の退屈さは明示されていませんでしたが、警官の息子のドミニクが、コルムにとっての主人公だったのかもしれません。ただ皮肉にも主人公はドミニクとも仲違いしてしまいました。
その結果、主人公、ドミニクは孤独になり、シボーンに振られ、シボーンが島から居なくなったことに耐えきれなくなったのか(そうではないかもしれませんがしれませんが)ドミニクは命を落とします。

主人公も孤独に苛まれるのかもしれません。
それは他者から見たときに自分が退屈だったことによるもののように描かれていたように感じましたが、監督は退屈が悪だということを描きたかったのかどうかはわかりません。ただ田舎と都会の比較のようにも感じました。私たちが人間に対してだけではなく、葛藤する状況を描きたかったのかもしれません。

※死神のおばあさんがどのような示唆を持っていたのかはわかりませんでした。勉強してから見直すと新しい発見ができそうな作品だと感じました。