人の世のなんと滑稽で残酷な事か。
対岸の争いを対比に、退屈で平和な日々もきっかけ一つで破滅へと向かう様を絵画のように表現していた。静穏は不穏に、陽気な音楽は狂気へと。
ただ、俺たちのバリコーの扱いは流石に少し納得がいかない。
まず1920年代前半という時代設定がある事は分かるが、男女の家事負担の不平等や結婚の自由に対するメッセージを出してくる割に、知的障害者を愚かなピエロのように描く部分は許されるというか、それやっちゃうの?というストレスは終始付き纏った。
『いつまで経っても愚かな人間』
がそのテーマの一つになっているのは分かるが、そこをそのまま愚かだと表現するのは果たしてやっても良いことなのかと。
いつもバリコーの活躍に期待しているだけに不満が残った。
そんな配役も果敢に挑み、そこに人間全体の愚かさを見事に反映させたバリコーの演技力はやはり素晴らしかったのだが。彼が凄いだけで製作側のキャラクター設定が良かったとは思わない。
前作でも思ったが、やはりマーティン・マクドナー監督作品は少し苦手かも。。。