小松菜ずし

イニシェリン島の精霊の小松菜ずしのネタバレレビュー・内容・結末

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

観客1人1人意味合いが違う映画だと思う。
自分はいわゆる保守派と急進派の対立をテーマにした映画だと思った。

本土の内戦が今この現代社会に起こっている色々な「変革」を表しているなら、イニシェリン島という小さなムラ社会にはその変革は届かない。
ただ海沿いの家に暮らすコルムには四六時中響く砲声(改革)を聞いているうちに、
転換してしまったようだ。

ただ以前根っからの保守派であったコルムには、覚醒したはいいが何をすれば良いか分からない。
そこでとった方法が今まで同志であった同じ保守派のパードリックから距離を置くことであった。
同じ島に住んでいてもより内陸に住んでいたパードリックには改革の砲声は聞こえない。
だから急に変わってしまった(様に見える)コルムにパードリックは戸惑い、仲直りしよう、言い換えるなら保守派に再び転換させようとするのだ。

前述した様に、コルムは根っからの保守派として生きてきたために「自分は何をしたらいいか」という問いに苛まれることになる。
聡明なシボーンの様に本土に移る、謂わば旧態依然としたムラを捨て、変わり続ける現代社会に飛び込めば良いのだが、ムラ社会の心地良さも痛いほど知っている年老いたコルムには最早外の世界に飛び込む勇気も時間もない。
ムラに留まる、だが改革はしたい、
コルムの過激で行き場のないエネルギーは
「パードリックが話しかけるたびに自らの指を切り取る」という極北の手段に出てしまう。
愚鈍で保守的なパードリックには真意は分かるはずもなく、やがてその行動はすれ違い、やがてパードリックの(コルムにとっては訳が分からない)恨みを買ってしまうのだ。
(死んだロバはパードリックとの親密度からいって絶対パードリックの性処理相手だったと自分は思う)
小松菜ずし

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