なんなんだこの映画は
言語化されない悶々とした状態にさせられている、、、
▼以下、ネタバレあり▼
見ていて楽しめていたので、面白かったと言えば面白かったのだが、主人公のパードリックと音楽家の男コルムとの泥試合が、いよいよ繰り広げられるのか、というところで映画が終わってしまうので、なんとも残尿感の否めない状態で放置されてしまったせいだ。
それとは別に、なぜかイライラさせられている自分がいる。
コルムの行為がどこか許せないのだ。
作曲もできてバイオリンの演奏も上手いコルムは、あの小さな島において、人気も尊敬も能力も、パードリックよりも優れている。
一人暮らしのコルムに比べ、妹という家族がいる点では、パードリックの方が恵まれているかもしれないが、それ以外は、コルムの方が強者であり優位に立っているわけだが、愚かなパードリックの行為を責めるために、音楽家にとって命よりも重要だと思える指を切断することで、主人公を加害者へと追い込み、苦悶させるという行為。
島中で、あのコルムの指を切り落とさせた張本人がパードリックだ、と、彼を追い込むというやり方。
そこが卑劣というか残酷すぎる、と思ってしまう。
一方、パードリックは、人生とは何か、生きがいとは何か、生まれてきた意味、与えられた使命とは何か、といった類のことを一度も考えることなく生きてきたような人物。こいつはこいつで確かにイラっとする。何度言ってもわかってもらえず、真意を捉える、人の気持ちを察するというのができないタイプの典型のようで。
観客は、突然、絶交を突きつけられたパードリックに対して、同情しつつも、自業自得だと思い、嘲笑しながら、二人の争いの行方を見守るというか楽しむことになる。
事態を軽く、楽観的に見るパードリック。
そんな彼の相手を長年続けてきて、心底うんざりしたコルム。
住人全員が顔見知りのような狭い島。
言ってもわからないストーカーのような人物にわからせるためには、やはりあのような極端なことをやらないと無理だった、ということなのだろう。
頭の中を整理していくと、コルムの取った行動が理解できなくもないように思えてくる。
「お前の軽率な行動が、どれほど俺に苦痛を与えているか、思い知れ!」
突き放しても、理由を言っても、ハエのように付きまとってくる。
かといって、主人公の男に危害を加えることは、コルムが加害者となり、法にも触れるし、捕まってしまう。
かくなる上は、、、
と思い知らせて、左手の指全部を失うという大きな代償の末、心の平穏をようやく手に入れられたと思ったら、妹に捨てられてヤケクソになった窮鼠が噛んできて、事態がエスカレートしていって、バカは死ななきゃ治らない、ってことを思い知って、
ダメだこりゃ
ダッフンダ
という映画でした。という理解で合っているのだろうか。