ミヤマレベッカ

イニシェリン島の精霊のミヤマレベッカのネタバレレビュー・内容・結末

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

おじさん同士の仲違いで映画1本作れるのがすごい。
ある日、一方的に親友から絶交された主人公がなんとか関係修復を試みるが、失敗、失敗、失敗で取り付く島もなし。おじさんたちが仲違いでてんやわんやしている裏では内戦が……なるほど、なぜ人間同士は争うのか、しかもほぼ身内みたいな状況であっても、というのがテーマなのかな。
どちらのおじさんからも人の良さが滲み出ているものの、ふたりともなかなか自分を曲げないので対立はどんどんエスカレートしていく。こうやって我を通すことが、隣人と殺し合いに近いところまで行くことになるよというメタファーなのかなぁなんて受け取りました🫏

大きな時代の流れの中で、生まれた土地、身近な人々に縛られずに自分らしく生きるのは難しいなと改めて感じたと同時に、しがらみから逃れる方法もある。
主人公の妹は本を読み、考え、周りの人々を慈しむが、最終的には本で蓄えた知識を武器に島を出ていく。しかも出て行った先で兄まで呼ぶ。主人公がしがらみを断ち切るための蜘蛛の糸まで用意できる人もちゃんと提示されている。まぁ主人公は島に残ることを選ぶのだけど……あそこで出ていけないから、親友と仲違いしてしまうのだろうな。近年のコリン・ファレルはああいう虚しいメンズを演じさせたら右に出るものなし。ぴったりの役どころでした。
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