侵入される側が悪悪(わるわる)超人じゃない『ドント・ブリーズ』みたいな映画。
まず、視覚障害の主人公を実際に視覚障害の俳優が演じているだけでも作り手への信頼度がある程度担保されている。
聖人君主じゃない障害者像がフィクション作品で描かれるのはとても重要だし、周縁化されがちな女性ゲーマー(ボイスチャットを使ってBFVを本気でやってる!)が仲間としてリアルタイムで指示をしてくれるという"バリアフリーなサスペンス"が魅力。
ただ、実際に視覚障害のある視聴者に対してこの映画が間口を広げてくれているかというと微妙。今は音声ガイドのアプリとかがあるみたいだけど、映画公式でも実装してくれたらいいのに。
現場にいるソフィと通話アプリ越しに支援をするケリー、2通りの緊張感が味わえるのが何だかお得な感じだけど、ステレオタイプを逆手に取るだけじゃなく脚本も逆手に取ってるので、スリルの内容もレベルも今までにない類のもの。
実際に超豪邸で留守番のバイトをしている時に強盗に入られたら、こんな展開になる可能性はそこまで少ないわけではないと思う。
アメリカの警官は2人1組で行動するはずなのに単独で家を訪れるのが不自然なのと、強盗団の動機が超しょぼかったりと所々で雑さが目立つんだけど、主人公像が新鮮すぎて細かい部分は正直どうでも良くなった。障害者だから金品を盗んでも疑われないと当事者に言わせるからには、それなりの理由が欲しかったかな。
猫は無事です。その代わり全然映りません。