ぼんやりとしか覚えていない元カノの家族に何故か最高のパートナーのように認識され、即興で葬式のスピーチも乗り切ったベンが、何だかんだでその死の裏にある陰謀を探ることになるコメディ。
自分が誰と関係を持っていたのかを死後に初めて知っていく。理論だけで人間の行動や生（なま）の感情は測れないというのはまさにそうで、基本的には保守的な人でも全ての事柄で保守的なわけじゃないし、リベラルな人でも同じ。
だから一点共闘しましょうとかいうことではなく、環境が違えば見える世界もまるで違い、周りが陰謀論者ばかりだったら陰謀論を信じるための導線が沢山用意されているし、身近にワタバーガーしかファストフード店がなければワタバーガーに行くし、都市部に住んでたら地方を見下すための材料が揃っているし……自由意志と呼ばれる範囲は人が思っているより狭い。人によっては人より広い。
結構複雑なテーマが背景にある割には強引なラストだったので、途中の期待値の割に読後感はそんなに良くなかった……。
