ゴーヤ

BLUE GIANTのゴーヤのネタバレレビュー・内容・結末

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

見終わった最初の感想は「ユキノリの作った曲はこんな曲だったのか」「玉田ここからよく上達したな」「大の音はこんな音だったんだ」
漫画で読んだ時に聞こえてきた音は自分の想像以上の音だった。大が言っていた通り、熱くて激しい。それがジャズだった。
この物語は大がTOPジャズプレイヤーになるまでのストーリーだ。大は聞く人の心を震わす音を出せる天才で、雪の日でも真夜中でも365日頑張れる努力家で、でもこの映画を見てそれだけではトップにはなれないと思った。
大にはもう1つトッププレイヤーになる為に持っているものがあって、それは「人との出会い」だと思う。ユキノリが作中「ジャズプレイヤーは1つの所には留まらない。ずっと変化していく」と言っていた。大はその時その時で最高の人達と出会い、そしてトップへの道を止まらず進んでいる。周りの人達がまるで大をトッププレイヤーにする為に存在しているかのように。きっとその出会いは大自身がジャズに対して一途に真摯に向き合い続けているからだろう。
大は悩む時や壁にぶつかった時も止まらない。ブレずにずっと真っ直ぐ進み続けている。凡人の私に大は眩しすぎて、玉田やユキノリ(彼も天才だけど)に感情移入してしまう。玉田が挫折せずにドラムを続けた結果、常連のおじさんに「君のドラムは良くなっている。僕は君の演奏を聞くために毎日通っているんだよ」と声を掛けられるシーンは作中屈指の名シーンだと思う。
玉田は「3人でバンドをする」、ユキノリは「ソーブルーの舞台に立つ」、2人の願いは叶った。でも大の「世界一のトッププレイヤーになる」という夢は叶っていない。2人は映画の中でやり切った清々しい表情で最高の演奏をしている。だが大はまだ道の途中だ。作中大が夢を叶えるその時まで、大自身が満足する演奏をするまで映画を続けて欲しい。
ラスト原作にはない、3人でソーブルーで演奏するFIRST NOTE。それを超える青い演奏を映画館で聞きたい。
それくらい作中音楽も声優も作画も演出も原作ファンとして大満足の映画でした。期待以上のクオリティに制作スタッフの方々には頭が上がりません。