原作が好きなので、原作補正もありますが、熱かったです。強かったです。
ジャズを知らない、漫画も読まない、みたいな方でも強引に感動させる圧倒的パワー。
パワー!
ストーリーはベタだし、演奏シーンのCGもヌルヌルしてますが、中盤以降はもう色々な登場人物たちに感情移入しまくって涙腺崩壊しました。
大好きな事に没頭し続け信じ抜いた宮本大も、モラトリアムから抜け出すため親に頭を下げた玉田も、若者と新しい音楽に賭けたアキコさんやタイラさんも、名もなき豆腐屋のご主人も、みんなちょっとずつ自分の中に存在してることに気付くと全部のシーンで目からボロボロと…この辺は個人差あるかと思うので、陳腐なお涙頂戴とも言えますが。
原作ファンからしたら「ダイジェストかよ」ってくらいの淡白な導入と少なくない弱点を持った序盤から、一転、ラストまでの盛り上がりを成功させた大きな要因は、初心者ドラマーの成長を緻密に再現した石若駿さんの演奏と、熱心なファンからジャズ初心者まで全員に届くような楽曲制作をした上原ひろみさんの功績かと思います。脱帽です。
原作は現在ジャズの本場NYへ向けて壮大な冒険を続けております。
最後の最後、ラストメンバーであろうベーシストでやっと「天才」という表現が出てきます。29巻目くらい?
そのくらい、才能や勝ち負け、分かりやすさなどを音楽に持ち込むことへ慎重な表現の作品です。
ということで、ヌルヌルCGやご都合主義的なベタストーリーは映画だけで判断せず、ジャズや音楽の可能性を信じた製作陣へ暖かい目と耳をご用意して、なるべく劇場の真ん中辺りの席へとお座りください。もしくはサントラ聴きながら漫画に没頭してみてください。
爆音上映があればもう一度行きたいです。