りっく

乱れ雲のりっくのレビュー・感想・評価

乱れ雲(1967年製作の映画)
4.2
加山雄三と司葉子というお似合いの美男美女。だが、ふたりは加害者と被害者という立場で出会ったために苦しみ、だが同時にこの事件がなければふたりは出逢わなかったというのもまた事実。こんな形ではなくふたりがもし出逢っていればと思わずにはいられないほどのめり込んでしまう。

とにかく二人でいる場面のそれぞれの内面の葛藤と、それでも理性を超えて本能が疼く様が実にスリリング。ボートを漕ぐ、看病する、タクシーに乗る、そしてベランダで外を眺めるといった密室でのふたりだけの場面での表面と内面の静と動のせめぎ合い、そしてその末のまさに断腸の思いでの別離がなんと切ないことか。
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