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ラーゲリより愛を込めてのkohのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
3.8
第二次世界大戦終結後、ソ連に抑留されてしまった山本幡男と日本人俘虜たちの実話を元に映像化した作品。
結論から言うと山本は病を患い日本に帰国することはできないのだが、収容所の仲間たちの山本への「尊敬の念」と、再会を願い信じて待ち続ける家族たちの「想いの強さ」と、たくさんの「希望」を感じました。
冒頭のちょっと微妙なVFXと、ニノの坊主姿がいかにもカツラですよ〜!感満載で少し残念ではありました🥹
とはいえ出演者たちの演技は素晴らしいし、重くなりすぎない雰囲気で終始見易さがあったので、戦争映画が苦手な方も気兼ねなく観れそう。

山本幡男はロシア語に長け、満鉄調査部での勤務や第二次世界大戦末期にハルビン特務機関に配属されていたが、それらの活動がソ連へのスパイ罪とされ、戦犯として重労働25年の刑を下され日本への帰国は絶望的に。
しかし絶望的な中でも決して希望を捨てず、収容所内の娯楽にと俳句や草野球の開催に尽力し、日本人俘虜たちの精神的支柱となった山本。
どんな状況下でも生きることを諦めない強い精神力を持てる人は中々居ないでしょうし、そんな人が病により帰国が叶わないことを悟った際の心中は計り知れず、涙が止まりませんでした。

家族へ宛てられた手紙(遺書)は山本の長男である山本顕一のHPで全文が読めるので、映画鑑賞後に是非とも読んで欲しいです。
家族に会えずに死にゆく無念を感じながらも、家族を想い紡いだ優しい言葉に、山本の人となりが見える文章でした。
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