毬藻

ラーゲリより愛を込めての毬藻のレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
3.6
「最後に勝つものは道義であり、誠であり真心である。」


絶望の中ただ一人希望を失わず、また仲間にも希望を与え続けた。そうして繋いだ希望は山本幡男の言葉を、想いを家族のもとへ届けるのだ。


遺書を分配し、何があっても山本の想いを家族へ届けようと懸命に暗記する4人。
帰還し、それぞれが預かった山本の言葉を諳じる。そして松田は母を想い、相澤は妻を想い。
誰もが誰かの大切な人で希望なのだと。
そして、あまりにも大きな愛とまっすぐな希望歌った「soranji」が流れるエンドロール。どこまでも美しい映画だった。

妻モジミの、山本の訃報に泣き叫ぶ姿、自分宛の遺書を読み「おかえりなさい」と穏やかに涙を流す姿、溢れた積年の想いに涙が止まらなかった。


原作で描かれていた現実は、活字でも目を背けたくなるほどの劣悪さ。残酷さ。それを知ってしまえば、綺麗に描かれすぎている映画演出や美術が目につくが、それに飲まれない堂々たる役者陣に圧倒させられる。
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