ブラックユーモアホフマン

アウトサイダーのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

アウトサイダー(1981年製作の映画)
3.8
あとこのドキュメンタリー風の作り方って音が結構キモなんだろうな。

映ってない場所で起きているノイズをわざと入れていて、多分撮影の時にその雑音は本当に起こってすらいないんじゃないかと思うんだけど、あえて雑然とした感じをそれで演出してるんだろうと。

あと特徴的なのは、物語上必要なことは描ききっているのにシーンが終わらず、主人公たちがその場から退場してもカメラはその場に居座り続けて、必要なさそうなシーンを撮り続けてるっていう演出。ほぼ毎シーンそうで、これが奇妙。主人公たちの”物語”にカメラが必ずしも従属しないというか。その背景にある世界も撮る。たぶんドキュメンタリー的な撮影、編集をしていることと呼応した演出。

しかし物語そのものは案外フツーというか、今の日本なら松居大悟や今泉力哉が監督しててもおかしくなさそうな、ダメ男のとことんダメな日常って感じで、しみったれた感じで、なんだタル・ベーラも人だなって思った笑

とは言え幕の閉め方はさすが。主人公が兵役に行くことになってめっちゃ嫌そうにしてて、いなくなったらせいせいするな〜くらいの感じでめちゃくちゃ背中を押す嫁と共に消えていった後、前述の通りカメラはその店内に留まって何かの会合を撮り(これには政治的な背景がありそうだけど学が無くてそこは分からない)、そしてハンガリー狂詩曲の演奏で幕が閉まる。変な後味が残るけど、ここが一番好きなシーン。