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地球外少年少女 後編「はじまりの物語」のsyuheiのレビュー・感想・評価

3.0
2022年の磯光雄監督作品。全6話が一気にNetflixで配信され、後半3話が後編にあたる。

彗星による地球衝突が迫る中、この危機は暴走して処分されたAI「セブン」による"予言"に基づく計画だったとの疑いが浮上する。果たして彗星衝突を止めることはできるのか?AIと人間に新たな共存の道はあるのか?地球生まれと月生まれの少年少女たちに未来はあるのか?磯流SFアドベンチャー完結編。

具体的な近未来ガジェットが次々に出てきた前半。後半でも移動式3Dプリンター重機とか出てくるけど数は減少。むしろAIやシステム、その機能という抽象的なアイデアが中心となり、説明のためのセリフが多くなる。それに反比例して、動く絵の面白さ、見せ場が減退してしまっているのは否定できない。

ネタバレは避けるが、本作は『十五少年漂流記』っぽい入り口だったけど、出口は『2001年宇宙の旅』『2010年宇宙の旅』に近い。スターチャイルドによって暗示された"人類のアップデート"とはどういうことなのか、AIに隷属しない人間の知性の可能性はどこにあるのかを思索する展開とエンディング。

それはええねんけど、思索が進むほど劇映画としての面白さは急速に失われていく。24話かけた『電脳コイル』とは違い3話という短い前半で急拵えされたキャラクターたちの個性や関係性も、怒涛の展開の中に埋もれていく。クライマックスの見せ場も弱く、エンディングもカタルシスがあるとは言えない。

SF好き、特に『2001年宇宙の旅』『幼年期の終り』とかのクラーク路線が好きなら最後までいちおう楽しめるんちゃう?ただ、SFという枠組みで抽象的な話をしたいならキューブリックが示したように絵的なインパクトが複数必要で、本作にはそれが欠けているので後半理屈ばっかりという印象なんよね。

本作では最後までその意味が明らかにされない"ある言葉"が出てくるんやけど、あれは『銀河ヒッチハイクガイド』のアレ的なことではないだろーか。このインタビュー読むといっぱい裏設定とか初期アイデアあったみたいやし。>「地球外少年少女」磯光雄インタビュー https://muplus.jp/n/nb92dd5b8c0fb

https://twitter.com/syuhei/status/1487620791495979012
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