黒い風船を持った怪しいマスクの男に誘拐され、地下室に監禁された少年。
その部屋では、断線されたはずの黒電話が鳴り響き、過去に誘拐され、殺された子供たちからのメッセージが聞こえる。
久しぶりのホラーで楽しめた。
『IT』や『サマーオブ84』などのジュベナイルホラーの大筋を受け継いだ作風で、既視感はあるものの、電話から死者の指示が聞こえる点においては新規性を感じた。
何より、イーサンホークの演技が良かった。
特にマスクを外した時の、気弱で精神病チックな雰囲気を出すのが上手く、じっとりとした不快感を感じられた。
ただ、謎のまま終わってしまい、消化不良なところがあったのは残念。
犯人の動機や、やりたいことが何なのか、明らかにならない。
せっかくのイーサンホークなのだから、演技力をもっと活し、犯人の描写に拘った方が良い。
見た目だけではなく、内面にも踏み込むことで、怖さのレベルも上がったし、作品にも厚みが出たと思う。
脱出を試みるシーンには緊迫感がある。中でもラストの脱出シーンはこれまでの点と点が線で結びつくような爽快感があった。