ちろる

愛すべき夫妻の秘密のちろるのレビュー・感想・評価

愛すべき夫妻の秘密(2021年製作の映画)
3.6
Amazonプライム独占配信映画、『愛すべき夫婦の秘密』

主人公のルーシー・リカードとリッキー・リカードの夫婦が繰り広げる日常をコメディドラマにした『アイ・ラブ・ルーシー』は、6000万人の視聴者がテレビにくぎ付けになり、最高視聴率を叩き上げるほどの大人気ドラマであったという。
その理由は、ルーシー役をルシル・ボール、リッキー役にデシ・アーナズの2人は実生活でも夫婦であったから。
この2人の私生活と、テレビ業界の光と闇の舞台裏を見せていく本作。

監督、脚本共にアーロン・ソーキンが関わっており、さすが、脚本も監督の技術も巧みだった。
物語は基本ルーシーことルシル目線で描かれるのだが、物語の軸が3つに分かれていて、一つはルシルが共産党員である疑いをかけられてしまう事、二つ目はルシルの旦那であるデシの不倫疑惑、そして三つ目は自分の妊娠をドラマで利用されてしまう事。
この3つが絡み合い、これらを並行して解決していかなければならない。

『アイ・ラブ・ルーシー』の人気に伴い、ルシルもまたこのドラマに異常なまでな思いをかけているが、それはなぜか。

それは、ルシルが夢見た【愛のある生活】がそこには確実にあるから。
愛する旦那の不倫疑惑で不安定心になっても、このドラマには、彼女の愛する居場所があり、なんとか心を保つことができる。
でも、裏を返せばここにしか、彼女の愛の居場所はないのだ。

人気女優でありながらも色々と砲撃を受けて不安定なルシル心に寄り添い見事に演じ切ったニコールの演技が素晴らしくてグイグイとストーリーに引き込まれてしまう。
ご本人そっくりに作り込まれたメイクやファッションもすごいが、劇中のニコールは、身のこなしや発声方法まで、ルシルが演じるルーシーそのものになりきり、本作の演技で第79回ゴールデン・グローブ賞映画部門の女優賞の受賞、そして第94回アカデミー主演女優賞にもノミネートされている。
ちなみにデシ役のハビエル・バムデルも又、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞の主演男優賞に共にノミネートされており、そんな2人の魂のこもった演技を堪能できる作品となっている。
ドラマのお決まりの台詞である
「ただいま、ルーシー」
が、作品の冒頭とラストに登場するのだが、それが全く違う色合いを持つ台詞になっていて、これで物語を挟むのは非常に姑息で上手い演出であった。
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