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愛すべき夫妻の秘密のdojiのネタバレレビュー・内容・結末

愛すべき夫妻の秘密(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

アーロン・ソーキンらしい、公開収録までの数日間という限られた時間設定と、そこにいたるまでのふたりの時間の蓄積を同時に見せていく語り口には安心感があって、豊かなキャスティングと多様な演技は一級品を観ている気持ちになるには贅沢すぎるほどだった。

"home"ということばへの執着を、プライベートとパブリックの境目なく求めたルーシーと、次第にその在り方から距離を取ろうとしていくデシのやりとりは終始切なくて、クライマックスにいたるまではほのめかす程度にとどめながら、ラストシーンですべてが明かされる演出は見事。デシの機転を効かせたパフォーマンスに対して(Jエドガーにはびっくりした。史実だろうけど気が利いている)、その直後に決定的な浮気の証拠を突きつけるルーシー。その落差には愕然とさせられるというか、感動で嗚咽しそうになっていた口が空いたまま、一直線の視点で夫への最終通告を告げるルーシーとの立っている場所のあまりの違いを思い知らされて、ぼくもデシのように現実をみることができない人間なのだろうかと突きつけられた気がした。

ルーシーのサクセスストーリーとしてもわくわくさせられるし、なにより彼女がディテールにまでこだわる仕事の仕方には首を縦に振るしかなかった。ラストでJKシモンズにかけられる賛辞のことばや、アリアに投げかける信頼の眼差しに、何度もグッときた。

ちなみにぼくは「arrested development」のファンなので、アリア・ショウカットとトニー・ヘイルが同じ画面に映っているだけでちょっとうれしかったり。
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