抑圧と解放、激震と静寂のミルフィーユ構造を包括する、厳かな制御による支配(=コントロール)。無機的に均した演出構成が広大な砂漠に映える。
活劇、躍動、情動、暴力、復讐、本来エネルギーを増大させ乱れを生むはずの事柄の全てが、禁欲的に均整な世界へ収束されていく。彼らの目論む解放それ自体も運命という整備された一つの道に組み込まれる。残酷な皮肉であり、必然。
「全ては決定しているのか」
その意味で、ラストショットは白眉だ。画面の枠を今にも壊さんとする情動の震え。愛。もしかすると執着。それもまた運命(=制御)に埋没してしまうのか。それとも。
ドゥニ・ヴィルヌーヴのナイーブさ、意志と制御のシグネチャーがここまで広大な世界に焼き付くとは思っていなかった。一見、全てがラショナルなのだが何故かエモーショナルに満ち満ちているように感ぜられる不思議な手触り。降参。
相変わらず寄りと引きをもう少し工夫してほしいが、首尾は上々。フルサイズなら何倍も感動したんだろうな〜。ノーマルIMAXの入りきってない感…。
追伸:ウンコ座りはカッコいい。