にゃーめん

デューン 砂の惑星PART2のにゃーめんのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.5
映画を映画館で観ることそのものの幸せを噛み締めるような1本。
全編IMAX撮影されたと言う事で、IMAXレーザー・先行上映で鑑賞。

鑑賞後、体中の穴という穴が砂まみれでジャリジャリになったかのような没入感を得られるのはIMAXだけ!

1作目(2021年)公開から時間が経っているので、登場人物の相関図を復習してから観るのをおすすめ。

私はあらゆるジャンルの映画を観るタイプの雑食系映画ファンだが、結局心掴まれ夢中になって作品の世界にのめり込むほど没入するのは、徹底的に作り込まれた世界観のSF大作なんだなと改めて自覚した。

本作の1作目では、アトレイデス家の頼りないお坊ちゃんだったポール(ティモシー・シャラメ)が、心身ともに逞しく成長し、砂漠の民(フレメン)を率いて、ハルコンネン家の大軍をビビらせるほどの影響力を持つまでとなる成長譚でもある。

フレメンの戦士(フェダイキン)として認められるようになるまで、ポールがフレメンの文化を学び敬意を払うという展開は、スター・ウォーズファンとしては、砂漠の民タスケン・レイダーと賞金稼ぎボバ・フェット(Disney+のスピンオフドラマ)の異文化交流を思い出し胸熱。

その土地で生きる民族の文化表現としての弔い描写が特に印象的。
人間の身体は60%が水分でできているため、水資源が貴重なDUNEの世界では、死体から採れる水も無駄なく再利用するのであった…😇(そりゃポールのママも吐くよね…)

そんなフレメンの独特な文化に馴染もうと「郷に入りては郷に従え」を実践し、救世主だと崇められても、自分を大きく見せず謙虚に、そしてフェダイキン見習いとして実績を積み着実に原住民達の信頼を得ていくポールに、心を寄せるチャニ(ゼンデイヤ)とのシーンで忘れられないのが、"砂歩き"のレクチャーのシーン。

2人でダンスをしているような息のあった砂歩きのシーンはなんともロマンチック。
SF映画に恋愛要素はいらねぇんだよ!側の人間だが、このシーンだけはグッときてしまった。

為政者を裏で操る実質的な黒幕組織である、魔女集団のベネ・ゲセリットに配役された女優の面々も適役で、特にレア・セドゥの蠱惑的な佇まいは圧巻。
かなりの端役なのにここまで爪痕残せるとは。
サイコパスのフェイド=ラウサ(オースティン・バトラー)もそりゃあイチコロである。

最推しのフローレンス・ピュー演じる皇女イルーランも役柄的にかなりの重要ポストになってくると思われるため、次作でも活躍を期待したい。

IMAX環境で観るべきと強く推したい理由として特筆すべきは、やはりサンドワーム(砂虫乗り)の表現。

巨大生物が出てくる映画では、その生物がどれくらいの大きさなのかを観客に示す必要があるが、人間と巨大生物の大きさの比較をするための引きの画面を最大限活かせるIMAXのラージフォーマット(1.90:1)が活かされていた。
IMAXで観たサンドワームはおそらく一生忘れないだろう。

フレメン専用の新幹線的扱いのサンドワームだが、一体どうやって手懐けているのか全くわからず、そこだけは謎のままである(笑)

デビッド・リンチ版(1984)のサンドワーム乗りのしょぼ過ぎる演出と比較すると、撮影技術の向上とテクノロジーの進歩にも驚かされる。
是非、デビッド・リンチの感想も聞いてみたいものである。

ハンス・ジマーの劇伴も大変素晴らしく、スパイス(香料)収集車(?)を襲撃するフェダイキンのシーンでの緊迫感ある音楽は、鳥肌が立つほど。
パンフレットによると、1作目の劇伴制作が終わった後も勝手に2作目用の劇伴を作っていたとのことで、ハンス・ジマーのDUNEへの熱の入れようが半端ではない。
Dolby音響環境の映画館でもう一度聴きたい。

本作で扱っているテーマは「資源(スパイス)」を巡る、「宗教」と「政治」の話なので、3部作で語り尽くせるのか問題がつきまとうが、スター・ウォーズに次ぐ新たなSFの金字塔となるような作品として、命ある限りは映画館でこの作品を追い続けたい。
にゃーめん

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