にゃーめん

猿の惑星/キングダムのにゃーめんのレビュー・感想・評価

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
3.5
「見えないモノを見ようとして
望遠鏡を覗き込んだ〜」

日本のロックバンド、バンプオブチキンの『天体観測』の歌詞をふと思い出したシーンがあり、とても印象的だった。

望遠鏡のシーンは2回出てくるが、この1回目と2回目のシーンの意味合いが変わってくるのがなんとも深い。

主人公猿のノアは、イーグル族の鳥使い(鷹匠)の家系に産まれた猿で、偉大な鳥使いの父親からのプレッシャーを感じながら生きてきた若い猿。

この若い猿目線で退化した人間へ向ける視点が新鮮。親猿からは人間(エコー)のいる谷へは近づくなと言われて育ってきたため、初めて見る人間(ノヴァ)を、臭くて汚い生き物扱いするというのがなんとも皮肉。

猿側の視点で言うと、"野生の人間の群れ"という見方になるのは笑ってしまった。
野生て…w

ノアがある出来事により、生まれ育った村を出て谷を越え、オラウータンと出会い知恵を授けられ、人間への偏見を変えていくという流れはワクワクする展開。

実家を出て独り立ちしないと、井の中の蛙のままなんだよなぁと、若い頃の自分と重ねた。

廃墟の中の望遠鏡を覗き込んだノアが、宇宙の星々の存在を知り、同じ知性を持っているノヴァへも心を開いていくという展開も面白い。

ノヴァ目線でみる望遠鏡のシーンは、また違った意味合いを持っていることはラストで判明するが、これまたにくい演出。

安易に、猿コミュニティと人間コミュニティの対立という話にしなかったのは良かったが、「猿の惑星」(1968)ほどの衝撃は超えられないのであった…。

(作中で何度もシーザーについての言及があるので、シーザー3部作(創世記・新世記・聖戦記)を観た方が没入できるかと思う)
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