竜どん

デューン 砂の惑星PART2の竜どんのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
3.7
評価が分かれる作品だと思ったのですが、高評価レビュー多いですね。

本第二部において強く目につく「復讐劇」と「狂信的信仰」は日本人の感性ではあまり理解できない気がする。主人公ポールは自ら予知する己の呪われた運命に慄きながら一族再興のためにフレメンの救世主信仰•伝説を利用し、権力掌握のために自身と想い人の感情すら置き去りにする。主人公キャラとして余りにも不穏。その原動力が「復讐心」というネガティブ発進なので余計に感情移入できない。秘密結社の首魁と化す母親レディ•ジェシカ、相互利用を自覚するフレメンリーダーのスティルガー、ポールの周りの味方達でさえ殆どの者が腹に一物抱え自己目的達成に行動原理を置くため共感しにくい。本作のボスキャラに当たるフェイドはキレキャラだが謀略に無縁で好感が持てる程だ。唯一の救いの存在の筈のチャニのラストショットの意味するところは?
…と、一大叙事詩と称せられる古典SFに過度なカタルシスを求めるのは間違いなのかもしれないけど全体的にどうにもモヤモヤするのが正直な感想。

反して映像描写はやはりスゴい。『DUNE』は未来SFでありながらロボットや自立型AIが登場しない。これは過去に起きた機械との大規模戦争の歴史的反省からきたもので、伝統と科学が融合した中世封建国家風レトリック世界観の描写は荘厳かつ重厚で非常に好み。そしてサンドワーム!!!ヴィルヌーブの『DUNE』愛をひしひしと感じる。
その情熱をもってして原作シリーズ続編『砂漠の救世主』にあたる第三部の作製に期待。

追記
クリストファー•ウォーケン久し振りに見た(情け無い皇帝様だったけど)。『デッドゾーン』『ゴッド•アーミー』なんかが有名だけど彼といったらやっぱり『センチネル』!!!
70年代ホラーの傑作。面白いよ!
あ…サブスクに無いんだ(>_<)
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