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デューン 砂の惑星PART2のnaoのネタバレレビュー・内容・結末

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

途轍も無い映画讃歌。ヴィルヌーヴ監督の真骨頂が観られた気がした。前作から一転宗教的指導者として銀河を巻き込む戦いに挑むポールの成長の見応え。真俯瞰や白黒撮影(アラキスとハルコンネンの視覚的な差をつけたらしい)など、映画史に残りそうな象徴的なシーンが沢山で、撮影美が凄まじい。特にポールの”There is a narrow way through.”という台詞があるが、これに掛けて、狭い壁間の向こう側にイルーラン姫を映す構図が完璧だった。個人的に米粒ショットと呼ばせて頂いている、ポールが何千もの信奉者の間を縫ってモーセの如く歩くショットもパワフル。チャニの人物成長も印象深く、前作より登場時間が圧倒的に増したと共に、彼女が聖戦に挑む動機は、家族と自負するフレメンの民を守るため。映画の中で唯一と言える純粋さの象徴としてのチャニの存在感が良かった。

ハンス•ジマーのスコアはやはり卓越しており’Beginnings are such delicate times’ のフレーズが繰り返し登場するのも上手い。ヴィルヌーヴにしては展開が早めで、長尺ながら退屈さを全く感じないアラキスの世界観も巧み。以前インタビューで監督が”自然が私の教科書なんだ。”と言っていたが、それはアラキスの風景が身近に感じられつつも新鮮だという、理想的な距離感に現れている気がした。とにかく傑作だった。

本人はPART2を超える出来にならなければ続編は無いと公言しているが、やはりPART3も是非観たい。
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