安堵霊タラコフスキー

カッコーの巣の上での安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)
4.9
チェコ・ヌーヴェルヴァーグの旗手ミロス・フォアマンが先日亡くなったということで、彼の作品で最も知られているこの傑作について。

精神病患者の群れに一人だけ健常者に近い男が混ざったらというシチュエーションを描いた戯曲が原作だけあってミロス・フォアマンというかチェコっぽさはそこまで感じられなかったけど、ジャック・ニコルソンと愉快な仲間たちが病院からバスで脱走するシーンとかはミロス・フォアマンの過去作に通じるものが無くはないし、全体的に生き生きとした人物が描かれている点はやはり白眉。

そんな生き生きとした精神病患者らや彼らまとめるジャック・ニコルソン、彼と対立するルイーズ・フレッチャーらの演技はどれもまさにキャリアベストと言えるもので、人物らの姿を見る為に何度でも鑑賞したくなる作品。

オチはこの時代にありがちな悲劇的なものとなっているものの、ただの悲劇でなくそこで犠牲となった人物の遺志を継ぐラストで締められていたのも良かった。

しかしこの作品の熱演でアカデミー賞を受賞したジャック・ニコルソンの勇姿を、できればもう一度スクリーンで拝みたいものだけど年齢が年齢だけにさすがにもう厳しいのだろうか。