たろー

ボイリング・ポイント/沸騰のたろーのレビュー・感想・評価

4.5
「いいか?緊張感を持て!」

一年の中で最も賑わうクリスマス前夜。人気レストランのオーナーシェフのアンディは疲れ切った中、トラブルだらけのレストランの舵取りをしていく、というストーリー。

物語は人間関係やお店の情報などのバックグランドの説明がなく、突如として始まります。いろいろなトラブルが密接に絡みながら、進行していき、一度もカメラが途切れることなく物語は結末を迎える……と書くとありきたりに聞こえますが、とにかく臨場感が凄く、トラブルもまたリアルで、本物のドキュメンタリーを見ているかのような90分でした。

また、劇中で起こるトラブルの全てが象徴的で、そのトラブルに抱く視聴者の感情(店の妙な空気、疑問や嫌悪感や怒り)が、上手くひとりの人間、ひとつの出来事に集約されている点は非常に面白かったです。

無駄がなく隙がなく、かつミステリモノのような視聴感があります。若干、暗めの展開があり、情報を整理しながら見る必要があるので、誰にでもオススメできる内容ではないですが、誰もが特別な作品だと頷けると思います。役者の演技も非常に良かったです。
たろー

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