とれクラ

ウーマン・トーキング 私たちの選択のとれクラのレビュー・感想・評価

5.0
すごすぎる…受け止めるものが多くて何回かに分けて観た
実際にあった事件を作品化する暴力は色んな側面で伴うけど、元になったボリビアの事件の被害者、全ての性暴力の被害者達に対して、持てる力とできる配慮を全て使ったような演出だった。性暴力シーンを描かない性暴力についてのフェミニズム映画が主流になってほしい。
(ボリビアの事件についてはまなかさんのレビュー、フロントロウのこの映画の記事で概要が書かれてるので観れる方ぜひ。。。加害者と加害者を許可し続けた村のシステムに吐き気を催す。)

最近アライの男性像について思うことが多くて、オーガストのキャラにすごい見入ってしまった
「男の話しか聞かない男が大勢いるからせめて男が盾になってほしい」とフェミニストになりたての頃は思ってたけど、そもそも「男の話しか聞かない人が話を聞く男」はマッチョだったりする(オラオラ系の左翼だったり思想的にフェミニズムに賛同しててもコミュニケーションの仕方がホモソ感強かったりクィアでも高収入で白人or日本国籍でゲイのシス男性だったり…)

「指摘」「教育」にかかるコストは女性よりはるかに少ないとはいえ、性暴力やホモソーシャルな構造に自身や身近な人が傷つけられた人は、男性であれ加害性の強い人と関わることにストレスを抱える人もいるわけで。。。
母を殺した村にひとりで、残った若い男の子に教育するよと去る女達に希望を持たせ、愛してる人も離れてしまって、自殺を考えていたオーガストの気持ちがよくわかる
3歳の子どもから老婆をレイプしてた男を村ぐるみで「幽霊の仕業」と隠蔽していた場所で、オーガストが安全に生きられるわけがない

それに旅をしてたどり着いた場所が日本みたいな外国人への人権侵害がひどい、難民認定すら中々されない国だったら?

今現在、ご自身も難民認定が降りず仮放免状態で、収容されてる人のために積極的に活動しているエリザベスさんも、故郷の戦争での少数民族の虐殺や、FGMの習慣から逃れてきた。(私が初めてお話を聞いたのは去年のLUSHの入管法改悪反対イベントでだったけど、収容され保険証が使えないから病院に行けず死んでしまった女性についてのお話をする時、涙を流しながら必死で、訴えるように話していた。)
今も最悪な入管法が通ってしまっているし、入管施設での人権侵害は繰り返されている。
↓エリザベスさんの支援ページ
https://konosekaini.com/?fbclid=PAAaaz-ZQCnz-tsfGVHBWnhNAtJITFkT27qzQOdy1k-XpQgwTykN_xzHMghyQ_aem_AW_Pa69XDDRev-88Z8LHabgW3U2zYUbY2m_DiJNTXRnmFOPAcJrE4RKJmxdNuCsMFJw


最後の投げかけで、現実を突きつけられた。女性が、弱い人が安全に生きられる場所のなさに途方に暮れるけど、意見を話し、記録し、自分の特権を使って、遂行するだけの冷静さを現実のために抱えようと思い直した、、
とれクラ

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