Kuuta

香も高きケンタッキーのKuutaのレビュー・感想・評価

香も高きケンタッキー(1925年製作の映画)
4.0
馬目線だけなのに「ストーリーがあるように見える」戦火の馬のような映画を想像していたが、割と人間パートもあり、馬はモノローグでガンガン心情を明かしており、普通の映画との折衷のような作りだった。馬のセリフ画面で、喋っている馬の似顔絵が毎回出てくるのがかわいい。

アクションで語る手際(すれ違いと接触の対比)、馬を捉える撮影、時折挟まる物悲しげな馬の目の破壊力。完全無音上映の緊張感よりも、鑑賞中は心地よさが優っていた。ジョンフォード論で激賞されていたシーンはなるほどこれね…という感じだったが、前に進むことが天命の馬とあっちこっち行く人間の対比っぽくも見えた。2回ある競馬シーンも無論アツい(一方は驚きと共に)のだが、構図は競馬中継で見慣れたそれであり、単に競馬が面白いのでは…?という気持ちにもなった。満員のシネマヴェーラにて。
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