スポックさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

からっ風野郎(1960年製作の映画)

3.0

三島由紀夫のぎこちない演技に抵抗感があったが、周りを固める凄腕の役者達の自然な演技で楽しめた。

若尾文子の孤独で底辺の生活を強いられている薄幸な女の演技が巧みでいとおしかった。

青空娘(1957年製作の映画)

4.5

私にとっては妖艶さが魅力の若尾文子が、爽やかで純粋な若い女の子を演じて違う魅力を見せてくれる青春映画。

登場場面から『赤線地帯』でやり手の娼婦役を演じ切った後の作品で、驚くほど初々しいセーラー服姿で
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赤い天使(1966年製作の映画)

5.0

理性も人権もましてやコンプライアンスなど到底通用しない戦場での極限の恋愛劇。

男と女が明日をもしれない、今をもしれない悲惨で無惨な死が日常の戦地で、お互いを求め合う強烈な肉欲と、ただただ触れ合ってい
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妻は告白する(1961年製作の映画)

5.0

またもや若尾文子の美しさと色っぽさに関心も得心もしてしまった!
後半のびしょ濡れになり異様な姿で現れ世間の奇異な目も省みずに、すがり付くように懇願する衰弱し取り乱した異常な女の姿ですら、若尾文子の魅力
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清作の妻(1965年製作の映画)

5.0

燃えるような女と男の激情が世間体や名声などのしがらみを吹っ飛ばすパワフルで情の深い恋愛劇だった。

動物本来の子孫を残したい異性を求める命懸けの本能を描き切ったような情熱を感じた。

私の中の若尾文子
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越前竹人形(1963年製作の映画)

3.5

自分自身が望まない強姦のような性行為であったとしても授かった生命を堕胎した罰が夫婦を破滅させたのか。
不自然な関係を継続し続けた男の罪が二人を不幸にしたのか。
夫の不自然な対応から欲望を抑えきれなくな
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雁の寺(1962年製作の映画)

5.0

若尾文子の色っぽさと下世話なはかなさがたまらない。

女性の知性も愛嬌も理性も操も若尾文子の色気には敵わない。

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)

4.5

親死に、子死に、孫死ぬ。
この順番で過ごせた人生が一番幸せだと聞いたことがある。

生者必滅、会者定離
この世に生を受けた者は、必ず死に必ず離れ離れになる運命の人生で、最小単位である家族の特別な繋がり
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海街diary(2015年製作の映画)

4.0

女優さん達の共演が観ていてワクワクできた。

大竹しのぶのいつまで経っても子供っぽい母親役が好演だった。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.5

唐突に始まるマルチバース世界とお下品ネタも含んだアメリカンギャグに私はもう一つハマりきれなかった💦

アカデミー賞でのこの多数の部門賞は人種間差別の批判をかわすことを意識し過ぎたリベラルなアカデミー賞
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パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

4.0

法律を逆手に取って、善意の顔をしながら他人の人生を犠牲にする悪どい金儲けの方法を緻密に冷酷に肝を据えて実行できる稀有な切れ者の実業家弁護士のチンケな死。

君の膵臓をたべたい(2017年製作の映画)

4.5

人と人が繋がりたい気持ちに泣いてしまう。

人の思い出を繋ぐ切なさと温かさに気付かされた時、一人では生きていけない真実に気付かされる。

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

4.5

将来に社会に出て生計を立て生きていくためには多くの場合に役に立たない学生時期のクラブ活動や没頭した趣味。
その時その無駄に熱く熱中することで、将来に人生の限界や可能性の幅を広げることへの力となる。

聖の青春(2016年製作の映画)

4.0

負けは死ぬほど悔しい。

命懸けで勝負事に挑むプロ達の生き様。

松山ケンイチの役作りのための努力や工夫が熱く伝わってきた。

東出昌大の抑えた演技や発声は好感が持て物語に深みをもたしていた。

道頓堀川(1982年製作の映画)

3.5

場末の繁華街で懸命に生活し、生き方を探す事の苦しみと、生きて来た過去に対する感情を納得する事の難しさ。

歴代に美しい女優さんは数々いらっしゃったけども20代後半の松坂慶子の美しさは別格に思える。
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草原の椅子(2013年製作の映画)

4.0

子供は自分の人生をまだ自分で決められない。
大人達は自分の人生のみならず子供の人生を左右し決めることができる。

『正しいやり方を繰り返しなさい』
正しいやり方を選択するのは自分自身だ。

人生はgi
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家へ帰ろう(2017年製作の映画)

4.5

人生で最も大切で愛している家族や身内や仲間たちを目の前で理不尽に殺された耐え切れるはずのない恐ろしいトラウマに立ち向かい、最も感謝している命の恩人に人生の最終盤に最後の勇気を奮い立たせて恩返しに会いに>>続きを読む

ダウントン・アビー(2019年製作の映画)

4.5

英国貴族の憂鬱や歓びと、その貴族達の使用人たちのプライドや心意気、そして第二次世界大戦前の英国の国内情勢が繊細に描かれている。

産業革命により全世界を手中に収める勢いにも翳りが見えてきた1920年代
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メカニック ワールドミッション(2016年製作の映画)

4.0

新手の工夫された盛りだくさんの殺しのテクニックが観れる。

プロヴァンスの休日(2014年製作の映画)

4.5

世代間の格差を乗り越えて心を開き人生を分かり合える寛容さ。

若者は年寄りが産まれながら頑固で保守的で古い考えに凝り固まった人格だと錯覚してしまう。
年寄り達も過去に右も左も分からずに情熱のまま突っ走
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永遠の831(2022年製作の映画)

2.0

攻殻機動隊を手掛けた大ファンの神山健治監督の最新作と期待したが驚くほどの酷い出来に悲しくなってしまった。
2022年制作でCG技術が進んでいて、その最前線にいる神山監督が作ったとは思えないカクカクのぬ
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劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

5.0

MAPPAを中心としたアニメスタジオの作画表現に感心した!!!

バトルシーンの殺陣の発想とその異様な展開のスピード感に虜になった。

サムライの子(1963年製作の映画)

4.5

南田洋子の驚きのそして捨て身の役作りに度肝を抜かれた!

廃品回収や日雇い仕事で暮らす人々が集まった「サムライ部落」の子供たちの話だ。サムライとは、廃品回収の商売道具火バサミを腰に差して、金目のものを
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BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

5.0

ボクシングなどの格闘技やアメフトやラグビーなどの血まみれの怪我が当たり前で時には命の危険もある競技をやりたくて挑戦して虜になった人間にとっては、ある意味で勝てようが勝てまいが、安定した将来が有ろうが無>>続きを読む

競輪上人行状記(1963年製作の映画)

5.0

今ではとても制作すら思いつかない人生転落ストーリー。

生徒の立ち直りを真剣に考える純真な中学校教師であり、俗物的で信者を食い物にしている拝金主義的な寺の運営に嫌悪感を抱き真摯な宗教感を志す住職である
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果しなき欲望(1958年製作の映画)

4.0

シリアスなどたばた喜劇。
浅はかな欲に振り回されて命まで失う人間の業は今も昔も変わらない。

その後に似たような設定で制作された映画や舞台作品の原点となったであろうよくできた脚本に現代でも色褪せずに楽
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にっぽん昆虫記(1963年製作の映画)

5.0

コンプライアンスもフェニミズムも人権すら軽視されていても活力のある日本人の手段を選ばない生き様がひしひしと伝わってくる時代の日本の物語。
昨今の平等と人権がうるさく言われる現状の世の中とは比べ物になら
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

2.5

感情を出さないように必死で押し殺しながら自由を装って無責任なフリをして生きる。
世の中が悪いわけでも、育て方が悪いわけでもない。
現在の人権重視の日本では生死に係るほどの貧困に陥ることもなく、かといっ
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そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)

5.0

世間は平等で職業に貴賎は無いと綺麗事を唱えても、現実の社会には自分自身が積み上げてきた努力や、つまずいてしまった人生や、耐えきれないプレッシャーや、降って湧いたようなラッキーや、生まれながらの性格や人>>続きを読む

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)

4.5

寡黙に悪気などさらさら無く人を狂わせていく常識人と、自分にも他人にも手に負えない感情を爆発させて悪意いっぱいに人を攻撃して狂わせていく異常人との交流でそれぞれの気質を乗り越えてお互いの関係を築き上げる>>続きを読む

メゾン・ド・ヒミコ(2005年製作の映画)

3.5

如何ともし難い自分自身の性別への認識。
自分らしく生きることへの覚悟。
他人を理解して許すことの寛大さ。
人の持つ課題に踏み込まずに分離して接する事の大切さが身に染みる物語。

細野晴臣さんが音楽を手
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