スポックさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

冷飯とおさんとちゃん(1965年製作の映画)

5.0

なんとも不思議な取り合わせのオムニバス時代劇映画だった。
半世紀以上も昔の日本の映画作製陣達の柔軟な表現と役者達のパワーに自分の知らない世界を垣間見たようでわくわくした。

山本周五郎の短編3作をオム
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リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

4.5

キャシー・ベイツのリアリティの有る演技力に感心も得心もした。

権力を持った者の謙虚さや、報道する者の慎重さと正確さが傲慢である気の緩みがいい加減な筋書きを成立させていく過程がよく分かる作品だった。
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大阪少女(2020年製作の映画)

3.0

大阪の昭和丸出しの小汚い町並みロケのゴミゴミした猥雑な雰囲気が良かった。
ストーリーもシンプルで人生のヒントになるようなエピソードも、次はどうなるのかなと思える展開も良かった。
でも何かもっと意図が伝
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鬼の詩(1975年製作の映画)

4.5

芸人の悲哀と壮絶な執念。

独りよがりでもいけない芸事に生き死にを委ねる芸人の気概と哀愁がよく出た映画だった。
特に大阪の上方の芸人が、評価の厳しい寄席の客の前で意地でも受けようとしてどんどんエスカレ
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冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

3.5

人当たりが良くて面倒見のいい小金持ちほど恐ろしい裏がありそう。
心理描写や感情の変化などの細かい繋がりは気にせずに異様な展開だけを追って鑑賞した方がおもしろい。

セル(2015年製作の映画)

2.5

人類補完計画のような社会を没個性化して組織体としての世界観は面白い発想だったがゾンビ映画の二番煎じのようで残念だった。
派手な見せ場でもあれはもっと楽しめた。

マングラー(1995年製作の映画)

3.0

血と肉の契約がもたらす悪魔との共存共栄の発想が面白かった。

大量の血が飛び散り人体の大部分が強力な力を持っている巨大な機械に引きずり巻き込まれて、ひき肉のようにぐちゃぐちゃにされていく描写が強烈にグ
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5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生(2017年製作の映画)

3.0

障害を持っている人材で情熱と努力と高い技術がある人は貴重であり得難い宝物だ。
しかし対人の客商売とあっては話は違ってくる。
特にホテルマンは完璧な対応を求められる。ましてや劇中の五つ星クラスの高い格式
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アンノウン(2011年製作の映画)

3.0

驚きの逆転の発想の脚本。

観始めはありきたりのつまらないストーリーで、パスポートを無くしたのなら早くアメリカ大使館に行けばよいのにと思ってたが、真相が明らかになっていくにつれて今までのスパイ映画に無
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ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)

5.0

「歳を取って良い事は?」
「目も足も弱って
良い事などありゃせんが
経験はつむからな
実と殻の区別がついてきて
細かい事は気にせんようになる」

「それじゃ歳とって最悪なのは何?」
「最悪なのは若い頃
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私がクマにキレた理由(わけ)(2007年製作の映画)

5.0

人間は金銭欲や名誉欲に囚われがちになり、自分自身が守りたい最小単位である家庭が最も大切だという真実を忘れがちになる。
親を頼ってくれて愛情を欲しがっている幼い時期の子供と関わり合える時間は短く、長いよ
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ヘアスプレー(2007年製作の映画)

5.0

アメリカの60年代の能天気でポップな設定だが差別問題にシビアに向き合った珍しい表現のミュージカル。

ジョン・トラボルタが自身も楽しんで演技をしている姿が楽しめた。

ブラッド・シンプル(1984年製作の映画)

5.0

疑心暗鬼の連鎖。

それぞれの登場人物たちの勘違いと思い過ごしが積み重なって、物事の真実と本質がどんどん複雑になり犠牲者だけが増えていく。
相手を信頼できない気持ちが取り返しのつかない早とちりに繋がり
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セレブリティ(1998年製作の映画)

4.0

愛は運か、それとも自分から奪いにいくものなのか。

いつも自分の日常に不満を持ちながら新しいパートナーを探し続ける虚しさ。
男女の仲は不満が溜まるがその原因はお互い様。
金も名声も満たされたセレブにと
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誘惑のアフロディーテ(1995年製作の映画)

4.5

子は鎹。
教養も将来の人生への展望もない人間であっても、その愛嬌のある性格と想いやりの人情があれば人の助けが得られ次のステップに進める道が開ける。

君が生きた証(2014年製作の映画)

5.0

凄く驚いたストーリー
子供を持つ親としては、世間の非難があっても何があっても最後まで自分の子供の味方であり愛情は変わらない。
死んでしまった子供が何を考え何に喜び苦しんでいたのかは、どこまで考えても完
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PUSH 光と闇の能力者(2009年製作の映画)

3.0

香港の場末のロケーションはめちゃくちゃ雰囲気があって良い演出だった。
アクションに派手さがなくて地味だった。

バーバー(2001年製作の映画)

4.5

『しゃべる奴は皆インチキ』
多くの言葉を並べて喋りまくる人間は自分の思う様に他人を操ろうとしているか、内容の無いヨタ話で無駄な時間を過ごすかのどちらかである。
しかしそのヨタ話が個人同士の繋がりを深め
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ジェミニマン(2019年製作の映画)

4.5

CGの技術の向上に驚いた。
自分自身と同じ遺伝子を持つクローンに、親子の愛情が湧き出る気持ちはよく理解できる。

天地明察(2012年製作の映画)

3.0

未知で壮大な手に取ることが出来ない天空の観察とまだまだ未発達な算術を使い自然の法則をから真理を見出す人間の探究心の素晴らしさが描かれている。
映画的には地味な題材だった。

空母いぶき(2019年製作の映画)

4.5

世界でも類を見ない平和への理想を追求した日本国憲法に基づき、防衛のみで先制攻撃はできない法律の中で手足を縛られながら苦悩し不自然な状況で国防をする自衛隊と政治家と官僚達の苦悩。
過去の歴史から日本に対
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銀座の女(1955年製作の映画)

3.5

高度成長期の近代化が進み変化の激しい日本で、旧態然とした古いしきたりの花柳界の内情が分かる映画かなと思って期待して観たがドタバタと思いもよらない出来事が続き当てが外れた。

日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)

3.0

同じ監督の『孤狼の血』の役所広司の自然でツボを得た演技と、監督のリアリティある世界観を期待して引き続きこの映画も観賞した。
しかしこちらの作品は主人公が紋切り型の、肩で風を切るはぐれ刑事を大袈裟にオー
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凶悪(2013年製作の映画)

4.5

世に出ないで起こったことすら知られていない殺人が数多くある事がよく分かる作品である。
金に目が眩み、あまりに容易に大金が手に入る弱者の老人を介した錬金術の法則を編み出すと、歯止めが効かなくなる。
まさ
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孤狼の血(2018年製作の映画)

5.0

リアリティのある筋立てをベースにした説得力のある台詞が身に染みる。
どんな仕事でもその奥深い真理を掴み取り、正義感と責任感が強ければ強いほど深みにはまり自分自身でもコントロール出来なくなる。
しかしそ
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ロード・オブ・ドッグタウン(2005年製作の映画)

4.5

純粋にその遊びが大好き!
無我夢中でスケボーを楽しみたい!
ずっと波に乗っていたい!
時間を忘れて滑っていたい!
上手くなりたい!
自分の思う通りに操りたい!
この楽しい遊びのためならバカな事もやって
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サンキュー・スモーキング(2006年製作の映画)

4.5

ディベートの技術が人生を切り開く力になる。

何よりも求められるのは
一般人とは違う
柔軟な道徳観念だ

最初のテーマから外れようが
論点のすり替えで誤魔化そうが
自論の正当性を証明できなくても
相手
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わが町(1956年製作の映画)

5.0

貧しかった近代国家幕開け当時の日本からの海外移民達の苦労と犠牲に責任を感じながら引きずって、独りよがりな根性論の信念を後世の子供や孫に押し付ける頑固ながらも働いて家族を養う事には真っ直ぐな老人の話。>>続きを読む

スターダスト・メモリー(1980年製作の映画)

4.5

探し求めても悩んでも見つからない人生の意味や価値。
生活が満たされているはずなのに次から次へと沸き起こる人生への疑問。
『人生はコントロールできないし不完全なものなんだよ。人間が唯一コントロールできる
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.0

定住を捨て家を捨てて人生の思い出と人々との新たな出逢いと共に、車中泊をしながらいろいろな土地を放浪し大自然の風景に感動する生き方を選ぶ。
定住を捨て家を捨てる事で、綿々と続く嫌な思い出や記憶や、繰り返
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女の園(1954年製作の映画)

4.5

いつの時代も権力を持つ体制側は自分自身の保身と組織を守るために、若者達を愚民扱いして都合の良いように管理したがる。
それを打破する為に多くの犠牲者を出したとしても、自分達の権利のために闘わなければいつ
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マンハッタン殺人ミステリー(1993年製作の映画)

4.5

アレン監督のいつものおちゃらけの思い過ごしで、勘違いでしたのどんでん返しかと思ったら本当の殺人事件に巻き込まれる。
子育ての時期が終わり二人っきりで過ごす時間が増えたマンネリな中年の夫婦が、思わぬとこ
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クーパー家の晩餐会(2015年製作の映画)

3.0

離婚で終焉を迎える恋愛もあれば、初々しく始まる恋愛もあり、ハプニングから始まる恋愛もあり、憧れからくる愛情もありなど様々な形で人々はめぐり合い求め合う。
その上に失業や病気やトラブルに悩みながら、家族
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ローマンという名の男 信念の行方(2017年製作の映画)

3.5

『人間は弱く過ちを犯す
互いの犯した愚行を許し合おう
自然の第一の掟である』

人々の正義のために無償で闘う信念の尊さと、自分自身の欲望と不正。

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)

3.5

人種間差別からくる暴力と反目。

最近でもコロナの発生地がアジアであり、その発生国が的確な対応を取らなかったことで世界中に蔓延したとの苛立ちがきっかけで、大男の白人が、小柄で弱々しいアジア人女性をまっ
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