原題は『車椅子の殺し屋』。ふたりの若者が怪しい大人と出会い、危険な世界に足を踏み入れていく定番の物語に、「障害」の要素を足すことでオリジナリティを獲得している。この設定が奇をてらうものでなく、映画と>>続きを読む
主演3人の演技が素晴らしく、特にアンドリュー・ガーフィールドの消え入りそうなもろい感じは忘れがたい。座礁船のシーンの美しさも印象的。大事に記憶を抱え運命を受け入れる物語はどこか「メッセージ」とも通じる>>続きを読む
自分をリベラルだと思っている人の無意識の差別意識。頭の中が花畑の母親、流刑地ウズベキスタン。宗教サイドよりもこっちの方が酷い気が。使徒のほとんどは愛する者を得ることで救われる。そもそも娘のナレーション>>続きを読む
なし崩し的になってしまう印象が拭えない作りがどうも。「通信」しても飛行機は影響なし。本人の都合で「切断」される人々。自然主義思想は必ずしも悪いものではないが、高次元の存在たる者たちの幼さがうさん臭さと>>続きを読む
長回しというと流れるようなカメラ撮影を想像しがちだけど、この映画の場合、5,6分の長めのワンカットが多用されるが、カメラの動きは小さい。
歯科でのやりとりにおけるそれぞれの表情や仕草から演技力および>>続きを読む
テレビシリーズを見ていた人でないとついていけないであろう作りなのに、映画版ではテレビ時にあったコメディ要素をカット。結果できたのは単なるオカルト猟奇殺人もの。とはいえボウイ登場の監視カメラシーンや明滅>>続きを読む
実話ベースと言えど武器を持たない兵士の話なんてファンタジーに見えてしまいそうだが、裁判シーンのドラマや戦場シーンの地獄絵図など生々しさに溢れていて説得力があった。信仰が揺らぐ時に起こる出来事や、「もう>>続きを読む
勝手な印象だけど主人公のキャラと俳優オダギリジョーがダブって見えた。個性的で我の強いイメージは一定の反感も招くし、本人としてもなんとなく行き詰まっているように感じていたが、そういった苦悩や葛藤をそのま>>続きを読む
わりと長い濡れ場があったり、血まみれの展開があったりするせいでイロモノ扱いされてしまいそうだけど、これは傑作。凄まじい熱量だけでなく、水中の撮影も冴えている。当時はきっとやり過ぎだったバイオレンスも現>>続きを読む
どうしても話を追いかける観客の心理を巧みに利用しながら、シームレスに別の物語に転調していく様は単調に見えて実は難しいのではないかと思う。ダンテ「神曲」を読めば理解も深まるかもしれないがさすがにハードル>>続きを読む
ホームレスを描きながらも半歩浮いたような浮遊感が漂い、好きな人にはたまらない豪華キャストとともに主人公の不思議な魂のゆくえが綴られる。
93年当時で既に遅れてきた存在だったと思われるが、それゆえ今観>>続きを読む
「ウォレスとグルミット」が好きすぎる、テレビ版は尺が短くて物足りない、「こひつじのティミー」が子供向けっぽい、という理由でなんとなく敬遠していたけど最高だった。アクションが気持ちいいアニメはそれだけで>>続きを読む
「キックアス」より「スーパー!」に近い話なのにアクション映画にしたことが一番の問題だと思う。普通の人がヒーローになる話なのに。赤い帽子の男がずれた事言ってもスルーされるシーンとかコメディとしても中途半>>続きを読む
ひょんなことから知り合ったスターに恋する一般人という今まで何度映像化したのかわからない話ではある。展開も全く予想を越えてこない。それでも映画好きの主人公が言う、映画とのつきあい方はとても本質的な所を突>>続きを読む
基本的には「籠の中の乙女」と「ロブスター」の間を繋ぐ作品というのがぴったりな印象。謎の組織アルプスの活動はもちろんのこと、エベレスト、マッターホルンとそれぞれ名乗り合うディテールのセンスがいい。この監>>続きを読む
翻訳家の岸本佐知子さんが編訳している「変愛小説集」や「居心地の悪い部屋」あたりを映像化したらきっとこんな感じ。奇妙な世界が当たり前に存在する世界観がたまらない。中学生みたいに叱られるジョン・C・ライリ>>続きを読む
一定の需要はあると思うので、ありえない設定とかはどうでもいいけど、すべてイケメンの男次第という点が不気味。胃袋を掴まれるのはまだいいとしても、それ以上に主人公の女性は待つことしか許されないのはどうかと>>続きを読む
ほとんど全編にわたってジャージ姿で下ネタ連発、エンドクレジットでラップまで披露する主役キャラが完成されすぎてて最高。アヴリル・ラヴィーンのファンという設定のなんとも言えん絶妙さ。こんなにもゲスい脚本を>>続きを読む
カラーなのにモノクロに近いような印象と書くと矛盾するが、背景やら壁を地味なトーンで統一することで独特なニューヨーク感がよく出てるし、時折赤いヒールやら深層に迷い込むエレベーターのシーンがいいアクセント>>続きを読む
撮影ロビー・ミューラー、音楽ジョー・ストラマー、ドイツでの撮影、と明らかに前2作よりリッチな絵面。キャスト陣も豪華、とりわけマリアンヌ・フェイスフルが適役で、演じる幽霊の佇まいがこの映画の立ち位置を表>>続きを読む
ざらついたモノクロ撮影、環境音くらいの抑制された音楽と鼻唄、モノローグ。おそらく自主製作という限られた条件で、出来ないことをやらなかった為というのもあるのだろうが、削ぎ落とすミニマルな表現がとても強い>>続きを読む
日本映画に出てくる軽いノリのするニヒルな悪役。この映画だと主役の人が二役で演じてるああいうキャラっていったいどこからいつやってきたんだろう。少なくとも静かなトーンには合わないと言える。
メトロポリス>>続きを読む
たまに「男はみんな浮気する」という人がいるがまさにそんな論理の映画で、性別問わずする人もしない人もいるというだけなのにといつも思ってしまう。誘惑に負けてとか、一度の過ちでもなくてこれは実質ただのレイプ>>続きを読む
時にソウルフルに、時にファンキーにリズムを刻むこの映画がひとつの音楽のようだった。画面に語りかけ映画を支配するJBの強烈な個性が、どれだけ似てるか、事実に忠実かなんてどうでもいいと教えてくれる。Cal>>続きを読む
親身になってくれる友人や家族よりも、時には他人だからこそ救われる事があり、絶望だけをシェアできるならなおさら。映画では究極的に苦しみや愛なんかを描くものが多いが、これは重くなりすぎず軽くなりすぎず。傍>>続きを読む
難解なストーリーにどれだけついていけたのかわからないが、単なるハリウッド批判に留まらず話が飛躍していく様に圧倒された。「ローグワン」のターキンの件にも重なるし、見たいものだけ見たいという世界はもう近未>>続きを読む
「モーガン・フリーマン」の力で映画は成立するのかを実験したような作品。劇中の展開と同じく新人監督のインディ作なのかと思うくらい低予算だけど、この人の言う事聞いとけば間違いなしな安定のモーガン・フリーマ>>続きを読む
安定のレッドフォードのファン向けクオリティではある。あまり過去を掘り下げたりもせず、物語も予定調和だけど、人間味溢れるニック・ノルティの見た目や言動がそんな事どうでもよく感じさせる。老年に差し掛かった>>続きを読む
爆弾魔の長身・猫背・分厚い眼鏡という外見も素晴らしいし、話が通じなさそうな狂人っぷりが最高。真面目な狂人ほど恐ろしいものはない。これに加えて、爆発現場に居合わせたレイプ犯も引けをとらない変態で、妻をモ>>続きを読む
「グランドピアノ」や「セッション」が音楽への恨みや強迫観念なら、これは祝福や鎮魂という感じ。「セッション」の大成功で葛藤を昇華したのか「Guy and Madeline on a Park Bench>>続きを読む
十数年前に観た初めての清順作品。それから色々な映画をたくさん観たつもりでも、観直してみると当時と同じくこの衝撃を言葉にすることができない。映画にとり憑かれたきっかけのひとつで、その意味でも個人的に清順>>続きを読む
あくまでアートを志向しながら高尚なものでなく悪趣味に着地するバランス感覚。映画そのままに膨大する「NWR」の自我。物語が想像を一切超えてこないことと、即物的な衝撃はあっても尾を引くような恐怖が感じられ>>続きを読む
「ダウントンアビー」を少し観てたのでヒュー・ボネヴィルのキャラの落差と奮闘っぷりがとてもかわいい。エスカレーターと博物館での背の順で隠れるシーンが楽しい。
体当たりの演技をしてそこそこ忠実に原作を映像化というのは画太郎先生の映画化として果たして成功なのか。コピペ多用とか途中から「まんゆうき」に変わるぐらいの狂ったことをやって初めて意義があるのでは?無難す>>続きを読む
「暗闇にベルが鳴る」は邦題だけど、暗い室内に顔だけ光が当たる撮影が印象的。アル中の寮母や間の抜けた捜索隊とユーモアが楽しい。厭すぎるラストも完璧。
スーパーバッドの方が出来はいいと思うけど、年齢が近いこっちの方が身に染みる。変化を受け入れながら生きていくのは理屈ではわかっていても難しい時がある。個人的にはサプライズされた側はリアクションに困る問題>>続きを読む